中通り商店街、発祥400年。長崎の歴史とともに歩んできた商店街の話

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長崎市の中通り商店街が今年で発祥400年を迎えたそうです。

400年、江戸時代初期から続いているということですよね。すごいことだと思います。

1625年から続く商店街の歴史

中通り商店街は浜町側の古川町から諏訪町までの約400メートル続く商店街で、通称「アルコア中通り」と呼ばれています。

私もこの商店街は何度も通ったことがあります。浜町から諏訪神社に向かう途中にある商店街で、老舗のお店や昔ながらのお店が並んでいる場所です。

実は以前から、この通りを歩く度に「いい雰囲気だな」と思っていました。浜町アーケードの賑わいとは違う、どこか落ち着いた昔ながらの空気が流れているんですよね。商店街のアーケードをくぐると時間の流れがゆっくりになるような、そんな感覚がありました。

この商店街が400年前から続いているということを今回のニュースで初めて知りました。それを知って、あの独特の雰囲気の理由が少しわかった気がします。

長崎の歴史に詳しい方によると中通り商店街の始まりは1625年(寛永2年)だそうです。その頃、中通り近くにあった諏訪と森崎、住吉の3社が合祀されて上西山町に諏訪神社として再興されました。そこから神社や近くの寺院に通う人でにぎわうようになり、また旧長崎街道につながる物流道の役割も果たしていたことから、自然と商店街として発展していったんですね。

1830年(天保元年)創業の老舗和菓子店「岩永梅寿軒」の方が幼少期を振り返ると、生活必需品を扱う店や民芸品・工芸品店のほか銭湯などが軒を連ねていたそうです。「職人町が周辺にある中通りは商業集積地だった」という言葉が印象的です。職人さんたちが作ったものを売る場所として、また生活に必要なものを買う場所として、多くの人が集まっていたんでしょうね。

400年という長い歴史の中で、中通り商店街は長崎の人々の生活を支えてきたんだと思います。

九州でも類を見ない特別な存在

400年という歴史がどれだけ特別なのか調べてみました。

長崎県内には江戸町商店街や新地中華街など歴史ある商店街はいくつかありますが、中通りのように400年の歴史を持つ商店街は他に見当たりません。新地中華街でも江戸時代中期からで300年に届くかどうかというところです。

九州全体を見ても、佐賀の唐津中町商店街が江戸時代から続いているという記述はありますが具体的な創業年は不明です。博多旧市街も歴史は古いものの、商店街としての形態が整ったのは豊臣秀吉の太閤町割り以降のことです。

つまり1625年発祥の中通り商店街は、九州でも極めて稀な本当に特別な存在なんです。

この数字を改めて見ると、私が感じていた「昔ながらの雰囲気」というのはまさに400年の歴史が醸し出しているものだったんだと納得しました。

伝統を守り、変化を受け入れながら次の時代へ

でも時代は変わります。

消費者の好みが変化し、郊外に大型ショッピングセンターができ、ネット通販が普及する中で中通り商店街も時代の変化の波を受けてきました。近年は空き店舗が増え通行量も減少しているそうです。これは中通りだけの問題ではなく、全国の商店街が同じような課題を抱えています。長崎でも浜町周辺以外の商店街は苦戦しているところが多いですよね。

そんな中、活気を取り戻そうと動いている人たちがいます。一昨年12月に商店街振興組合の青年部が発足し、30歳の近金さんを中心に季節に合わせたイベントを定期的に開いて商店街の人流増加を図っているそうです。「この先も長く続く商店街にしたい」「観光にも暮らしにも身近な商店街として人が集まる場所にしたい」というこういう若い世代の熱い思いが、商店街を次の時代につなげていくんだと思います。

岩永梅寿軒の方が言っていた「中通りは観光地としてのポテンシャルが高い。伝統を守りつつ、変化も受け入れないといけない」という言葉が印象的でした。400年の歴史と伝統は大切な財産ですが、それだけにしがみついていては時代に取り残されてしまいます。伝統を大切にしながらも新しいことに挑戦していくバランスが大事なんですよね。

中通りは諏訪神社に続く道でもあり観光客も多く通る場所です。そこに九州でも類を見ない400年の歴史を持つ商店街があるということは確かにポテンシャルが高いと思います。

中通り商店街が400年続いてきたということは、江戸時代から明治、大正、昭和、平成、令和と大きく変わる時代の中で変化に対応してきたということでしょう。

今回の発祥400年記念セレモニーではサッカーJ2のV・ファーレン長崎のホーム最終戦のパブリックビューイングも実施するそうです。伝統的な商店街がサッカーのパブリックビューイングをするというこの柔軟な発想が、商店街を次の100年、次の400年につなげていくんでしょうね。

長崎の宝として

九州でも類を見ない400年の歴史を持つ中通り商店街。

私も何度も通ってきたこの商店街が、こんなに特別な場所だったんだと知って、改めて長崎の歴史の深さを感じました。

私たちも長崎でビジネスをしている身として、こういった地域の歴史や文化を大切にしていきたいと思います。

そして、もし機会があれば中通り商店街を歩いてみてください。400年の歴史を感じながら、新しい取り組みも応援できたらいいですよね。

商店街の未来を支えようと頑張っている若い世代の皆さんを、応援しています(^^)

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この記事を書いた人
T.kawano

T.kawano

宮崎生まれ、宮崎&長崎育ち。長崎西高、長崎大学経済学部卒。
在学中からWeb業に従事して約20年。人生の半分以上をWebに注いできました。

デザインからライティング、撮影、プログラミングまでやっており、専門家としてセミナーをしたり、Webでお困りの方の相談にも乗ってきました。

「話す・作るWebディレクター」として活動中。
器用貧乏を逆手に取り、ITの力を活用して少数精鋭の組織で動いています。

三児と一猫の父。趣味は「お笑い」「アニメ(狭く深く)」「バドミントンとそれに必要なトレーニング」
「優しく」「仕事ができ」「面白い」人間を目指して日々精進中。