第4章:どんな業種・事業にホームページが必要か? (1)BtoBとBtoCでの違い
「業種によっては、SNSだけでいいのでは?」
「ホームページって全員に必要?」
こんなふうに聞かれることもあります。
たしかに、事業の形や顧客との関係性によって、必要性の濃淡はあります。
ですが、“不要”というよりは、「どこに重点を置くかが違う」と捉えるほうが正確です。
今回は、BtoB(企業向けビジネス)とBtoC(個人向けビジネス)の違いに注目して、ホームページの必要性と役割を考えてみましょう。
1. BtoBにとってのホームページ:信頼と実績の証明が命
BtoB(Business to Business)とは、企業が企業に向けて商品やサービスを提供するビジネスの形です。
たとえば、製造業の部品供給、業務システム開発、デザインや広告制作、コンサルティング業などが該当します。
こういったBtoBの世界では、
- 取引金額が大きい
- 契約期間が長い(リピート前提)
- 選定までに比較検討される
という特性があるため、信頼感や実績の提示が何より重要になります。
そのため、SNSよりも「公式情報をしっかりと整理・掲載したホームページ」が強い武器になります。
特に以下のような情報は、BtoB企業の担当者が重視します。
- 会社概要(沿革・資本金・所在地など)
- サービス内容や提供体制
- 取引実績・導入事例
- 顧客の声・推薦コメント
- 代表者メッセージ
- お問い合わせフォーム(資料請求含む)
ホームページは、まさに企業の“身分証明書”や“営業資料”としての役割を果たすメディアなのです。
SNSだけで「うちは信頼できます!」と訴えても、BtoBの世界ではそれでは不十分。
むしろ「ホームページがない(更新されていない)」こと自体が、信頼を損ねてしまうリスクすらあります。
2. BtoCにとってのホームページ:安心と利便性の土台づくり
一方、BtoC(Business to Consumer)は、飲食店、美容室、アパレル、教室、病院など、個人のお客様を相手にするビジネスです。
こちらはSNSとの相性が非常によく、日々の発信でファンを増やしていくスタイルが主流になっています。
ただし、ホームページの重要性がなくなるわけではありません。
BtoCのビジネスにおいても、以下のような場面では必ずホームページが必要になります。
- 営業時間やメニューなどの基本情報を、わかりやすく届けたい
- 価格やサービス内容を明確にして、不安なく利用してもらいたい
- Google検索から来る新規のお客様を逃したくない
- 「ちゃんとしたお店・会社」であることを印象づけたい
- 予約フォームやアクセスマップなど、機能面での案内をしたい
SNSはどうしても「投稿が流れていく」性質があるため、ユーザーが必要な情報を探しにくくなります。
また、検索性も弱いため、「◯◯市 美容室」「△△市 カフェ 営業時間」など、検索エンジン経由の集客を考えるなら、ホームページがあることが前提になります。
また、個人ユーザーであっても、たとえば病院や高額なサービスを利用する前には、
「どんな人がやっているのか」「信頼できるのか」「清潔感はあるか」といった要素を確かめようとします。
そのとき、丁寧に作られたホームページは“安心感の裏付け”になるのです。
3. 両者に共通するのは「誰もがネットで調べる」時代だということ
BtoBもBtoCも、共通するのは、「まずネットで調べる」ことが当たり前の時代になったという点です。
どんなにリアルで接点があっても、名刺をもらっても、「あとで検索してみよう」「公式サイトあるかな?」と思う人は多いはず。
逆に言えば、検索しても出てこない・情報が古い・SNSしかない、という状態は、
それだけで「この会社大丈夫かな?」という印象を与えかねません。
特に「企業のホームページを見るのが当たり前」という感覚を持っている層(30代後半〜60代)は、
SNSだけでは不十分と感じることも多いのです。
まとめ:業種に合った“ホームページの役割”を見極めよう
- BtoB:信頼・実績・比較検討の土台として必要
- BtoC:安心感・利便性・検索性を支える基盤として必要
SNSは、フレンドリーでリアルタイムな発信に最適。
でも、事業として「信頼してもらう」「選んでもらう」ためには、ホームページという“正装した顔”があるかどうかが問われます。