会社用ブログにコメントやリアクションボタンは必要?~導入前に知っておきたいメリット・デメリット~
会社のブログを続けていると「コメント機能を付けてみようかな」「いいねボタンがあったら、読者の反応が分かるのに」と考えることがありますよね。確かに、SNSや個人ブログではコメントやリアクションが活発で、とても盛り上がっている印象があります。でも、会社のブログに同じ機能を付けるとなると、実は話が少し変わってくるんです。今回は、企業ブログにコメントやリアクション機能を導入することの、意外なメリット・デメリットについて考えてみたいと思います。
コメント機能の現実:管理負担が想像以上に大きい
まず、コメント機能について考えてみましょう。一見すると「読者とのコミュニケーションが取れて良さそう」に思えますが、実際に導入してみると、想像以上に管理が大変なことが分かります。
スパムコメントとの戦い コメント欄を開放すると、人間が書いたコメントよりも、自動投稿されるスパムコメントの方が圧倒的に多くなります。「素晴らしい記事ですね!私のサイトも見てください→怪しいURL」といった宣伝目的のコメントや、全く関係のない商品の宣伝、時には不適切な内容のコメントまで様々です。
これらのスパムコメントは24時間365日、容赦なく投稿されてきます。つまり、定期的なチェックと削除作業が欠かせません。平日の昼間だけでなく、週末や夜中にも投稿されるので、放置していると大量に蓄積されてしまいます。スパム対策のプラグインもありますが、これで全てを防げるわけではないため、人のチェックが必要です。
企業イメージへの影響 もし不適切なコメントを放置してしまった場合、企業のイメージに悪影響を与える可能性があります。訪問者は「この会社は管理がちゃんとできていないんだな」と思うかもしれませんし、スパムコメントの内容によっては、企業の信頼性を疑われることもあります。
SEOへの悪影響 さらに、大量のスパムコメントが蓄積されると、サイトの表示速度が遅くなったり、検索エンジンからの評価が下がったりする可能性もあります。これは、せっかくブログを続けているのに、逆効果になってしまうかもしれません。
リアクションボタンの落とし穴:少ない反応が逆効果に
コメント機能よりも管理が楽そうに見えるのが、「いいね」や「参考になった」などのリアクションボタンです。確かに、スパムの心配はありませんし、管理の手間もほとんどかかりません。でも、実はここにも意外な落とし穴があります。
リアクション率の現実 一般的に、ブログ記事に対してリアクションをする人の割合は、一説では全体の閲覧者の約2%程度と言われています。つまり、100人が記事を読んでも、リアクションをするのは2人程度なんです。現在ではもっと少ないかもしれません。
会社のブログの場合、SNSや個人ブログと比べてアクセス数も限られることが多いです。例えば、1日10〜20件のアクセスがある場合、リアクションがあったとしても、せいぜい週に1〜2件程度。時には全くリアクションがない記事もあるでしょう。
「人気のなさ」が逆に目立ってしまう リアクションボタンがあるのに反応が少ないと、かえって「この記事、サイトは人気がないんだな」「あまり良い内容じゃないのかな」という印象を与えてしまう可能性があります。リアクションボタンがない方が、逆に記事の質について先入観を持たれずに済むかもしれません。
それでも欲しくなる理由
それでも、コメントやリアクション機能を付けたくなる理由は何でしょうか?
書く側のモチベーション やはり、一番大きいのは「書く側のモチベーション向上」です。コメントで「参考になりました」と言ってもらえたり、いいねが付いたりすると、「また頑張って書こう」という気持ちになりますよね。
記事の信頼性向上 また、多くのリアクションがある記事は、読者にとって「良い記事なんだろう」という印象を与える効果もあります。人間は、他の人が評価しているものを「良いもの」と感じる傾向があるからです。
より効果的な代替手段
では、コメントやリアクション機能の代わりに、どんな方法でモチベーションを維持し、記事の効果を測定すればよいでしょうか?
Google Analyticsでアクセス解析 最も客観的なデータが得られるのは、Google Analyticsによるアクセス解析です。どの記事がよく読まれているか、どのくらいの時間をかけて読んでもらっているかなど、詳細な情報が分かります。
ただし、ブログを続け始めたばかりの頃は、アクセス数もまだ少ないため、データを見ると逆にやる気を失ってしまう可能性もあります。ですのでアクセス解析は数ヶ月後から始めるのも一つの手です。
社内でのフィードバック 最も効果的で確実なのは、社内での継続的なフィードバックです。ブログを書いている社員を継続的に褒めたり、記事の話題で社内で盛り上がったり、ネタを提供し合ったりすることが、一番のモチベーション向上につながります。
お客様からの直接的な反応 時には、お客様から「ブログ見ましたよ」「あの記事、参考になりました」といった直接的な反応をもらえることがあります。これは、どんなリアクションボタンよりも価値のあるフィードバックです。
企業ブログの本来の目的を見直す
コメントやリアクション機能について考える前に、そもそも企業ブログの目的は何なのかを整理してみることも大切です。
企業イメージの向上 様々な話題を発信し続けることで、「活発に動いている企業」という印象を与えることができます。この場合は、継続性と内容の質が重要で、リアクションの数はそれほど重要ではありません。
仕事や信用につなげる 現場のことを継続的に書いたり、お客様からよく受ける質問への回答を載せたりすることで、専門性や信頼性をアピールできます。この場合も、リアクションよりも内容の充実度が重要です。
SEO対策としてのアクセスアップ 検索結果で上位に表示されるためには、仕事関連の話題を7割、それ以外の話題を3割程度の割合で書くのが効果的と言われています。この場合は、検索エンジンからの評価が重要で、リアクションの数は直接的な影響はありません。
継続こそが最大の価値
実は、企業ブログにおいて最も価値があるのは「継続していること」そのものかもしれません。
多くの企業が、ブログを始めても数か月で更新が止まってしまいます。そんな中で、継続的に情報発信を続けているということ自体が、企業の信頼性や活力を示す重要な指標になります。
リアクションの数に一喜一憂するよりも、「今日も更新できた」「今月も続けられた」ということを評価し、継続のモチベーションを維持することの方がよほど重要です。
まとめ
会社用ブログにコメントやリアクション機能を付けることは、一見魅力的に見えますが、実際には管理の負担や逆効果のリスクなど、意外なデメリットがあります。
特に、ブログを始めたばかりの段階では、これらの機能よりも「継続すること」と「内容の質を高めること」に集中する方が効果的です。
読者との交流や反応を求める気持ちは自然なことですが、企業ブログの場合は、もっと長期的な視点で効果を測定することが大切です。コメントやいいねの数ではなく、継続的な情報発信によって築かれる信頼性や専門性こそが、企業ブログの真の価値なのかもしれませんね。
皆さんの会社でも、ブログを続けること自体を誇りに思って、引き続き頑張ってくださいね (^^)