佐世保の「部品屋」が存続できる理由。70年の歴史を誇る神吉商会に学ぶ、選ばれ続ける企業の「本質」
佐世保中央ICを降り、国道35号線へと差し掛かる松浦町交差点。信号待ちでふと目を向けると、独特の存在感を放つ建物が目に飛び込んできます。佐世保にお住まいの方、あるいは仕事でこの道を通る方なら、一度は見覚えがあるのではないでしょうか。

そこにあるのは、1954年の創業以来、佐世保の車・バイク文化、そして地域の産業を支え続けてきた「有限会社神吉商会(かみよししょうかい)」様です。名前の響きもさることながら、パッと見て「何のお店か」が伝わる看板も非常にインパクトがありますよね。
実は私、20代前半の会社員時代に、当時の社長に同行して一度だけこちらに伺ったことがあります。その時の衝撃は今でも忘れられません。店内は文字通り「所狭し」と部品が並び、どこに何があるのか素人の私には全く想像がつかない……そんな圧倒的な物量に埋め尽くされた空間でした。あれから約20年。今なお、あの交差点で力強く、そしてさらに進化して営業を続けているのには、一体どんな理由があるのかを調べてみました。
1954年創業、佐世保と共に歩んだ「70年」の重み
神吉商会様の設立は1954年(昭和29年)。じつに70年以上の歴史を誇ります。昭和から平成、そして令和へと、日本のモータリゼーションの変遷を佐世保の特等席で見守り続けてきたパイオニアです。
創業当時は、車や機械が今よりもずっと貴重で、メンテナンスして長く使うのが当たり前だった時代。その頃から、地元の整備工場やタクシー会社、そして個人の愛好家たちへ正確な部品を供給し続けてきた実績は、一朝一夕に築けるものではありません。あの交差点に建つ社屋は、単なるビルではなく、佐世保の物流と技術を支えてきた「信頼の象徴」。新しくなった看板が、単なる流行りではなく「安心感」としてスッと馴染んでいるのは、この長い歴史という裏付けがあるからこそです。
「車」の盤石な土台と、「バイク」というニッチな強み
ここで一つ、神吉商会様の大きな特徴に触れておかなければなりません。「部品屋さん」というと一般的には車の部品がメインと思われがちですが、神吉商会様の凄さは、自動車部品の卸売という「盤石な本業」を持ちながら、オートバイ用品においても「聖地」としての地位を確立している点にあります。
- 車の部品: プロの整備士が「車検証さえあれば、間違いのない純正パーツが手に入る」と全幅の信頼を置く卸売。
- バイクの部品: 南海部品(オートバイ用品の全国チェーン)の代理店としての顔。
実は、バイクの消耗品やマニアックなパーツを実店舗でこれほど豊富に扱っているお店は、地方では非常に稀とのこと。この「車という生活インフラ」と「バイクという嗜好品・ニッチ市場」の両輪を高い専門性で支えていること。これが、ネット通販や大手量販店には真似できない独自の強みになっています。
20年前から変わらない「活気ある店舗体験(UX)」
私が20年前に圧倒された「店内の凄まじい物量」ですが、現在のクチコミを拝見しても、その魅力(UX)は健在のようです。通路が狭く、天井まで商品が積み上げられた店内を、お客様は「大人の宝探し」や「部品の百科事典」と呼んで楽しんでいます。
普通、今の時代「通路が狭い」「バタバタ忙しそう」というのはマイナス要素になりがちです。しかし神吉商会では、それが「プロがひしめき合う活気」へと変換されています。忙しく動き回りながらも、いざ声をかければテキパキと、車検証のデータから正確な部品を探し出してくれるスタッフの方々。この「プロフェッショナルなカオス」こそが、リアルな店舗でしか味わえない体験価値なのだと感じます。
佐世保の土地柄を活かした「国際的なホスピタリティ」
神吉商会の公式サイトを拝見して非常に感銘を受けたのが、「FriendShip Business」への加盟です。米軍基地を抱える佐世保という国際都市において、英語での対応が可能なスタッフを配置し、外国人のお客様を快く迎え入れる体制を整えています。
言葉の壁や規格の違いがある中で、「困っている人を助ける」という商売の原点を、国籍を問わず実践されている。これは単なるサービス向上以上の、地域インフラとしての覚悟を感じます。相手がプロでもアマチュアでも、そしてどこの国の人であっても、「必要なものを確実に届ける」という圧倒的なプロ意識が、多文化が共生する佐世保の街に深く根付いている理由なのです。
中小企業が学ぶべき「神吉商会スタイル」
神吉商会様の発展は、単なる偶然ではありません。「70年にわたる正確な知識」「ニッチな市場(バイク)も取り込む品揃え」「多様な顧客に寄り添う誠実な対応」など。
私たちWeb制作の世界でも、「ただ綺麗なサイトを作る」だけでは不十分です。その裏側にどれだけの専門知識があり、どれだけお客様の「困った」に寄り添えるか。神吉商会の看板を見上げるたびに、そんな商売の本質を突きつけられる気がします。
佐世保の交差点で、これからも変わらぬ安心感と、時代に合わせた新しさを発信し続けていく神吉商会。私たちも、そんな「代わりがいない存在」を目指して、日々精進していかなければと強く感じました(^^)
