世界一売れているゲームって何だと思います?そのゲームが売れている理由について

2726文字 Blog, シリーズ『学び』

「世界で最も売れているゲームは何?」と聞かれたら、あなたは何を思い浮かべるでしょうか。多くの方は、赤い帽子の配管工が冒険する「スーパーマリオ」や、1000種類を超えるモンスターを集める「ポケットモンスター」、あるいは日本を代表するRPG「ドラゴンクエスト」などを想像するかもしれません。

これらはどれも歴史に名を残す素晴らしい名作ですが、実は単体タイトルとしての販売数でそのすべてを抑え、「世界第1位」の座に君臨しているゲームがあります。それが、カクカクとした立方体のブロックだけで構成された「マインクラフト(Minecraft)」です。

最新の映像技術を駆使したリアルなゲームが次々と登場する中で、なぜこの「ドット絵の延長」のようなゲームが、3億本を超えるという異次元の記録を打ち立て、15年以上も王座を守り続けているのか。今回はその人気の秘密を、単なるエンタメの枠を超えた「ビジネス戦略」の視点から深掘りしてみたいと思います。

マリオもポケモンも超えた?「世界一」という衝撃の実績

まず、マインクラフトがどれほど「異常」な売れ方をしているのか、具体的な数字で見てみましょう。マリオシリーズやポケモンシリーズは、新しいハードウェア(Switchなど)が出るたびに新作が発売され、累計で数億本を売り上げますが、これらはあくまで「シリーズ全体」の合計です。

それに対し、マインクラフトは単一のタイトルとして累計販売数3億本を突破しています。これは、かつて世界を席巻した「テトリス」や、怪物タイトル「グランド・セフト・オートV」をも超える、正真正銘の世界記録です。

なぜ、これほどの爆発力が生まれたのでしょうか。それは、従来のゲームのような「ハードウェアに縛られた作品」から脱却し、PC、スマホ、全家庭用ゲーム機で遊べる「デジタル・インフラ」としてのポジションを確立したからです。どこでも遊べ、誰とでも繋がれる。この徹底したマルチプラットフォーム戦略が、普及の分母を世界規模に広げました。

4K・8K時代に「あえてドット絵」が選ばれる理由:想像力の余白

現代のゲーム開発において、映像のリアリティを追求するのは「正解」の一つです。しかし、マイクラはその逆をいきました。この「画像クオリティ」の選択こそが、実は最大のヒット要因となっています。

心理学には、情報の足りない部分を自分自身の記憶や想像で補おうとする「不確定性の補完」という性質があります。マイクラのブロックでできた簡素な世界は、描き込まれていないからこそ、プレイヤーの脳内で「自分にとっての理想の風景」へと自由に変換されます。これは、小説を読んでいる時に頭の中で映像を膨らませる感覚に非常に近いです。

制作者がすべてを描き切ってしまう「完璧な世界」は、鑑賞するには素晴らしいですが、ユーザーが介入する余地が少なくなります。対してマイクラは、あえて「想像力の余白」を残すことで、プレイヤーが自ら物語を紡ぎ、自ら世界を完成させる喜びを提供しました。4K時代において「あえて解像度を落とす」ことが、結果として「ユーザー体験の熱量を最大化させる」ことに成功したのです。

終わりのない「デジタルな砂場」がもたらす自己効力感

マイクラには、多くのゲームに存在する「これをしなさい」という強制的なゴールがありません。この「自由度の高さ」が、今の時代にマッチした深い心理的報酬を生み出しています。

その核心にあるのが「自己効力感」です。デジタル上の砂場として、自分の家を建てることから、巨大なコンピュータ回路を作る(レッドストーン回路)ことまで可能です。「自分がこの世界を書き換えた」「自分の手でこの仕組みを作り上げた」という実感は、人間にとって最も根源的な喜びの一つです。この達成感がある限り、プレイヤーがこの世界を去ることはありません。

また、ゲーム内の「レッドストーン回路」は、現実世界の論理回路(AND・OR・NOTなど)そのものであり、遊びながらプログラミング的思考を身につけることができます。これにより、マイクラは「単なる遊び」から「教育ツール」へと昇華され、親世代や教育関係者という、従来のゲーム市場以外の層からも圧倒的な支持を得ることとなりました。

遊びを「学び」と「インフラ」に変えたプラットフォーム戦略

マイクラが老いないもう一つの理由は、運営側だけでなく「ユーザー自身がコンテンツを供給し続ける」エコシステムにあります。

世界中のユーザーが日々新しい「Mod(拡張機能)」や「スキン」を開発し、それを共有・販売する文化が根付いています。マイクラはもはや一本のゲームではなく、ユーザーが自分のビジネスや作品を披露する「舞台」へと進化しました。自律的にコンテンツが増え続けるこの仕組みは、キャラクター人気に頼る従来型のヒット作には真似できない、非常に強固なビジネスモデルです。

私の子ども達3人ともマイクラが好きで、プレイするのを見ることがありますが、他にもゲームYouTuberがマイクラをしているのを見ていることさえも楽しめるんだなと思いました。ゲームに熱狂していたあの頃の私がマイクラをしたらきっと子ども達と同じ感情になっていたでしょう!

私たち中小企業がマイクラの成功から学ぶべきもの

映像が綺麗なのが当たり前の時代に、あえて「引き算の美学」で世界を席巻し続けるマインクラフト。この成功から私たちが盗むべきポイントは、以下の3点に集約されます。

  • 「高機能」よりも「参加できる余白」: サービスの完成度を上げることも大切ですが、お客様が自分なりに使いこなせる「余白」をあえて残すことで、深い愛着とロイヤリティを生むことができます。
  • コミュニティを「共創者」にする: 一方的に提供するのではなく、ユーザーの声を反映し、ユーザー自身が「このサービスを良くしている」と感じられる仕掛けを作ること。
  • 「体験」を売ることで古びない価値を作る: 物理的な見た目は時間とともに劣化しますが、そこで得られた「自分でやり遂げたという体験」は一生劣化しません。

名だたる巨人を抑え、世界一の座に君臨し続けるマインクラフト。その魅力の核心は、ブロックという最小単位の積み重ねが、プレイヤーの数だけ存在する無限の可能性という最大の価値を生み出していることにあります。

私たちのサービスも、マインクラフトのように「お客様の想像力を刺激し、長く愛され続けるための土台」になれているか。そんな視点を持って、日々の業務に取り組んでいきたいですね(^^)

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この記事を書いた人
T.kawano

T.kawano

宮崎生まれ、宮崎&長崎育ち。長崎西高、長崎大学経済学部卒。
在学中からWeb業に従事して約20年。人生の半分以上をWebに注いできました。

デザインからライティング、撮影、プログラミングまでやっており、専門家としてセミナーをしたり、Webでお困りの方の相談にも乗ってきました。

「話す・作るWebディレクター」として活動中。
器用貧乏を逆手に取り、ITの力を活用して少数精鋭の組織で動いています。

三児と一猫の父。趣味は「お笑い」「アニメ(狭く深く)」「バドミントンとそれに必要なトレーニング」
「優しく」「仕事ができ」「面白い」人間を目指して日々精進中。