トンネルの歴史とそのすごさ
年始は毎年恒例で、家族で佐賀のゆめタウンにドライブ&ショッピング、夕食、そして佐賀大和のアマンディで温泉に入って帰ってくるというプランが定番になってきました。そんな移動中にふと思ったんです。
トンネルって、冷静に考えるとめちゃくちゃすごくない?と。
昔は山があれば、当然その山を越えて移動していたわけですよね。時間も体力もかかる。でも今は、山にまっすぐ穴を開けて、平らな道を作って、何事もなかったかのように通り抜けている。
当たり前のように通っているけれど、これはかなり大胆なことをやっている気がします。

そういえば、トンネルって丸い
トンネルの中を走りながら、もう一つ気になったことがあります。
ほとんどのトンネルって、断面が丸い(もしくはアーチ型)ですよね。
四角いトンネルはあまり見かけません。なぜなんだろう、と考えてみました。
たぶん理由の一つは、圧力の分散なんじゃないかと思います。山の中に穴を開けるということは、上からも横からも、常に大きな土圧や岩の重みを受け続けている状態です。
もし四角い形だったら、角の部分に力が集中してしまって、そこからひび割れたり、最悪の場合つぶれてしまう可能性が高くなる。丸い形なら、力が全体に均等に逃げていく。
建築や構造の専門家ではありませんが、直感的にも「丸いほうが強そう」なのは分かります。
自然を壊すのではなく、共存している感じ
トンネルというと、「自然を破壊している」というイメージを持つ人もいるかもしれません。
でも、よく考えると少し違う気もします。
トンネルの外側は、相変わらず山で、土があって、木が生えていて、虫や動物がいて、川が流れているかもしれない。その中を、必要最小限だけコンクリートなどで固めて、人が安全に通れる空間を作っている。
山を全部削って道を作るのではなく、山はそのままにして、中を通らせてもらっているようにも見えます。
そう考えると、トンネルって「自然との妥協点」みたいな存在なのかもしれません。
人間の進化って、やっぱりすごい
あらためて思いますが、人間の進化って本当にすごいですよね。
山が邪魔だから回り道をする、ではなく、「じゃあ穴を開けよう」と考える。そしてそれを実現してしまう。しかも、崩れないように、安全に、何十年も使える形で。
最初に「トンネルを作ろう」と言い出した人は、相当なチャレンジャーだったはずです。掘っている途中で崩れないか、水が出てこないか、本当に向こう側に抜けられるのか。今のような重機も計測技術もない時代なら、なおさらです。
最初のトンネルはいつ、どこで?
気になって少し調べてみると、世界最古級のトンネルとしてよく知られているのが、紀元前8世紀ごろに作られたエルサレムの「ヒゼキヤの水路」です。岩盤を両側から手掘りで掘り進め、水を引くために作られたトンネルで、最終的に中でつながったという話はなかなかロマンがあります。思った以上に昔でしたね。
日本でも、江戸時代にはすでに素掘りのトンネルが作られていて、用水路や街道の一部として使われていました。人は昔から、「山の向こう側に行きたい」「水を通したい」という思いを、トンネルという形で実現してきたんですね。
地震が多い日本でも、なぜトンネルは崩れにくいのか
日本は地震大国ですが、トンネルが地震で大規模に崩落するというニュースは、実はそれほど多くありません。
これは、トンネルが丸い構造であることに加えて、周囲の地盤と一体化するように作られているからだそうです。建物のように「地面の上に乗っている」のではなく、地面の中に「なじんでいる」状態。
揺れが来ても局所的な力が集中しにくく、結果として被害が小さくなるケースが多いと言われています。
もちろん、過去には崩落事故もありますし、工事中の事故は今でもゼロではありません。それでも、「基本的にはかなり安全な構造」だというのは、長い歴史が証明しています。
昔と今で、トンネル技術はどう変わったのか
昔のトンネルは、人が手で掘る「素掘り」が中心でした。岩盤の状態も分からず、経験と勘が頼り。かなり危険な作業だったと思います。
現在は、地質調査、3D測量、シールドマシンやTBM(トンネル掘削機)など、技術が大きく進化しています。事前に地盤の状態を把握し、適切な工法を選びコンクリートで精密に補強する。
ITの世界で言えば、職人技からシステム化・標準化への進化に近いものを感じます。昔は「できる人にしかできなかった」ことが、今は再現性のある技術として確立されている。
掘ったら上から崩れる…はず。じゃあどうやって守っているのか
トンネルの話を考えていて、一番素朴な疑問がこれでした。
先に掘ったら、その瞬間に上から崩れてこないの?
だって、山の中にぽっかり空間を作るわけです。支えがなくなれば、土や岩が落ちてきそうな気がしますよね。私だったら、スコップを入れた瞬間に「うわ、やばい」となりそうです。
実際、昔の素掘りトンネルでは、崩落事故が頻繁に起きていました。では、今のトンネル工事ではどうして安全に掘り進められるのでしょうか。
基本の考え方は「掘ったら、すぐ支える」
答えは意外とシンプルで、掘ったままにしないということです。現代のトンネル工事では、少し掘る → すぐに支える → また少し掘る、という工程をひたすら繰り返します。支えがない状態を、極力作らない。
代表的なのが「NATM(ナトム)工法」と呼ばれる方法です。掘削した直後に、吹き付けコンクリートを壁や天井に吹き付け、さらにロックボルトという長い金属の棒を山に打ち込んで固定します。
イメージとしては、山を外から固めるのではなく、山そのものを縫い止める感じです。周囲の地山を一体化させて、崩れにくい状態を作ります。
巨大な傘を差しながら掘る方法もある
地盤が特に弱い場所では、さらに慎重な方法が使われます。
その一つが「フォアポーリング」や「パイプルーフ」と呼ばれる工法です。これは、トンネルの進行方向の上部に、あらかじめ鋼管(鉄のパイプ)を何本も差し込んで、屋根の骨組みを先に作ってしまうやり方です。
その下を少しずつ掘り進めることで、上からの崩落を防ぎます。まさに、地面の中で傘を差しながら進んでいるようなイメージです。
全部を一気に掘らない、という知恵
もう一つ大事なのは、トンネル全体を一気に掘らないという点です。
断面を上下や左右に分けて、天井部分だけ先に掘る、次に側面、最後に床、というように段階的に進める方法もあります。これによって、常にどこかが支えとして機能する状態を保ちます。
こうした工法は、すべて「自然に逆らわない」ための工夫です。無理やり押さえつけるのではなく、土や岩が本来持っている力をうまく利用しながら、少しずつ空間を作っていく。トンネル工事って、力技に見えて、実はかなり繊細な仕事なのですね。
当たり前の裏側にあるもの
トンネルを通るたびに、今まで特に何も考えていませんでした。でも少し立ち止まって考えてみると、その裏側には人間の知恵や挑戦、自然との付き合い方の工夫が詰まっています。
普段、何気なく使っているものをこうやって考えて調べるのは面白いですね。
そんなことを、家族とのドライブ中のトンネルが教えてくれました。次にトンネルを通るときは、ほんの少しだけ天井や壁を見上げてみてください(^^)
あっ、運転手は前を向いてくださいね!
