仕事のやりとりで大事なこと。それは「次に何をするか」を明確にすること

お客様とのやりとりの中で、私がいつも心がけていることがあります。それは、メールや電話での回答の最後に、「次に何をするか」を明確に伝えることです。今日は、このことについて深掘りしたいと思います。
専門用語の壁
私たちのようなIT企業、ウェブ制作会社は、どうしても技術者でもあるため、専門用語や難しい表現で回答をする機会が多くなってしまいます。「サーバーのSSL証明書の更新が必要です」「レスポンシブデザインに対応していないので、CSSを修正する必要があります」「DNSの設定を変更してください」こういった言葉が、つい出てしまうんですよね。もちろん、なるべく分かりやすい言葉で説明するように心がけています。でも、どうしても専門用語を使わざるを得ない場面もあります。
もう一つの「難しさ」
ただ、専門用語以上に難しいと感じるのが、「もらった返事をもとに次はどう進めばいいか、判断がつきにくい」ということなんです。これは、お客様が私たちの回答を受け取った時に感じることだと思います。「説明は分かったけど、結局、私は何をすればいいの?」「このまま進めていいの?ダメなの?」「次は誰が何をするの?」こういった疑問が残ってしまうと、プロジェクトが止まってしまいます。
私が感じた経験から
実は、これは私たちにとっても起こり得ることなんです。昔、あるエンジニアの方と仕事をしていた時のことです。こちらが出した質問に対して、とても丁寧に回答してくれました。でも、その内容が難しすぎて、正直、意味がわかりませんでした。しかも、結局のところ、イエスなのかノーなのか、ここから何をすればいいのか、それぞれの役割は何なのか、そういったことが全く分からないまま。メールを何度も読み返しましたが、やはり分からない。結局、「すみません、もう少し簡単に教えてください」「結局次は何をすれば良いですか?」と返信するしかありませんでした。この時、「ああ、自分もお客様に同じことをしているかもしれない」と、ハッとしたんです。
だから心がけていること
この経験をもとに私自身がお客様とやりとりをする際には、例え小難しいことを言ったとしても、最終的に以下のことを必ず入れるようにしています。「イエスなのか、ノーなのか」、「誰が何をするのか」、そして「次のステップはどうするのか」です。
例えば、こんな感じです。
- サーバーのSSL証明書の更新が必要です(これは専門用語)
- 放置すると、お客様がサイトにアクセスした時に警告が表示されてしまいます(影響を説明)
- つきましては、弊社で更新作業を行いますので、ご了承いただけますでしょうか(誰が何をするか)。
- 費用は〇〇円です。もしご承認いただけましたら、来週中に作業を完了させます(次のステップ)。」
このように書くことで、お客様は判断しやすくなります。
プロとして進むべき道を示す
これは、プロとしての専門性を出しつつも、次に進むべき道をこちらが提案するということです。お客様は、ITの専門家ではありません。だからこそ、私たちに依頼してくださっているわけです。そんなお客様に、「どうしますか?」とだけ聞いても、困ってしまいますよね。だから、「こうした方が良いと思います」「こちらで対応します」「ご確認をお願いします」といった形で、次のアクションを具体的に示す。もし、その提案がお客様の意向に沿わなければ、「いえ、それは違います」と言ってもらえばいいだけです。そうしたら、また別の道を提示していけばいい。このようにすることで、プロジェクトがスムーズに進んでいきます。
具体的な例
例えば、ホームページの更新作業を依頼されたとします。
ちょっと悪い例
「ご依頼いただいた更新内容を確認しました。画像のサイズが大きいので、圧縮する必要があります。また、テキストの配置については、現在のレイアウトでは難しい部分があります。」
これだと、お客様は「で、どうすればいいの?」となってしまいます。
良い例
「ご依頼いただいた更新内容を確認しました。画像のサイズが大きいので、圧縮する必要があります。こちらで圧縮処理を行いますので、お任せください。また、テキストの配置については、現在のレイアウトでは難しい部分があります。レイアウトを少し調整する必要がありますが、よろしいでしょうか?調整する場合は追加で〇〇円かかります。もしご予算的に難しければ、テキストの量を減らす方法もありますが、いかがでしょうか。」このように書くことで、お客様は「画像はお任せして、レイアウトは調整してもらおう」とか「予算的に厳しいからテキストを減らそう」といった判断ができます。
良い例としていますが、ここまで一気に伝えることはまずありません。何回か行う会話のラリーの中で入れていくこともあり、簡単な作業であれば確認をせずに作業後に事後報告で無料ですと伝えたり、状況によって伝え方はさまざまです。
丁寧すぎずに業務を遂行することが是とすることもあります。
こういう話は正解を書くのが難しいのですが、あくまでも押さえるべきポイントの確認としてくださいね。
専門性と分かりやすさのバランス
冒頭の話に戻りますが、「難しい言葉を使わずに、なるべく相手が理解しやすい言葉で答える」という話を聞きます。もちろん、それはとても大事です。私も、なるべく専門用語を使わないように心がけています。
でも、どうしても難しいことを言わざるを得ない時もあります。そういう時こそ、その後にプロである私たちが「進んだ方が良い方向」を示していく。専門的な説明をした上で、「だから、こうします」「こうした方が良いと思いますがいかがですか?」と、次のアクションを明確にする。
これもプロとしての責任の1つですね。
お客様の「分からない」を拾う
もし、お客様が「その説明では分からない」と思ったら、その部分を指摘してもらうかこちらが気づくか。人は「分からない」とはなかなか言えません。その場合は分かっているかどうかはこちらでアンテナを張って酌み取っていくのもコミュニケーションでは大事なことです。
だからこそ、メールの最後に「ご不明な点があれば、お気軽にお問い合わせください」と書くのも大事ですよね。
プロジェクトは進めてナンボ
結局のところ、プロジェクトは進めてナンボです。
お客様とのやりとりが止まってしまうと、納期も遅れるしお客様も手間が増えるし不安になるし、良いことはありません。
だから、やりとりの中で「次に誰が何をするか」を明確にすることが、プロジェクトを前に進めるための大事なポイントの1つなんだと思います。
私もまだまだですので、常に「自分がちゃんとできているか」を振り返るなど精進が必要です。より良いコミュニケーションになり、より良いプロジェクト進行にしたいものですね(^^)
