街を巡る「無料回収車」の甘い罠。私の失敗談とバイク名義トラブルの教訓

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「ご家庭で不用になった、テレビ、パソコン、冷蔵庫……。なんでも無料で回収いたします」

住宅街をゆっくりと走る軽トラックから流れる、聞き慣れたスピーカーのアナウンス。大掃除の後や、壊れた家電の処分に困っている時、ちょうど家の前を通りかかった彼らの声が「救いの手」のように聞こえてしまうことはありませんか?自治体の粗大ゴミに出すのは手続きが面倒だし、重いものを運び出すのも大変。そんな時、「無料で、今すぐ持っていってくれる」という提案は魅力的ですよね。

しかし、近年のニュースでも繰り返し報じられている通り、この「無料回収」の裏には非常に巧妙で悪質なトラブルが潜んでいます。2026年現在もその手口は衰えるどころか、より巧妙化しています。今回は、私の恥ずかしい過去の失敗談も交えながら、なぜ「無料回収車」に安易に声をかけてはいけないのか、そのカラクリと正しい処分のあり方について深掘りしていきましょう。

私の失敗談:良かれと思った「無料回収」が招いた税金の督促状

実は、偉そうに語っている私自身、かつてはこのリスクを知らずに大失敗をしたことがあります。当時は「無料で引き取ってくれるし楽だ」と思っていたのです。バッテリーや壊れた家電を次々と引き取ってもらい、極めつけは、乗らなくなって放置していた「90ccのバイク」まで回収してもらいました。

バイクは重いし、処分するにもお金がかかると思っていたので、その場でトラックに積んでもらえて「ああ、スッキリした!」と喜んでいたのですが……本当の恐怖は翌年の5月にやってきました。手元に届いたのは、すでに手放したはずのバイクの「軽自動車税」の納税通知書でした。

「回収=廃車」ではないという落とし穴

驚いて調べてみると、その業者はバイクを回収しただけで、役所での「廃車手続き」を一切行っていなかったのです。つまり、書類上はそのバイクはまだ私の所有物のまま。業者がその後どうしたのかは不明ですが、転売されたのか、あるいはどこかに放置されたのか……いずれにせよ、私の名義は生き続けていたのです。しかも業者の連絡先をなくしてしまって、どこに連絡していいかも分からなくなってしまいました。

結局、私は色々調べて手元にバイクもナンバープレートもない状態で、自ら役所へ出向いて手続きをする羽目になりました。あの時の「無料でラッキー」という気持ちは、精神的なストレスと無駄な手間で完全にかき消されました。

バイクやスクーターを処分する際の「正しい手順」

ここで、私と同じ失敗をしないために、バイク(特に原付や小型バイク)を処分する際の正しい知識を整理しておきましょう。バイクの種類によって、届け出先が異なります。

  • 原付(125cc以下): お住まいの市区町村役場(市民税課など)
  • 軽二輪(126cc〜250cc)・小型二輪(251cc以上): 運輸支局(陸運局)

通常は「ナンバープレート」と「標識交付証明書(または車検証)」を持って窓口へ行き、廃車申告書を提出します。しかし、私のように「業者がプレートごと持っていってしまった」「紛失した」という最悪の事態でも、以下の手順で解決できる可能性があります。

ナンバープレートがない場合の「強制廃車」の手順

もし車両もプレートも手元にない場合は、役所の窓口で「紛失(または盗難・回収業者による持ち去り)」の旨を正直に伝えます。警察に紛失届を出して受理番号を控えておく必要がありますが、事情を説明して「理由書」を記入することで、ナンバープレートがなくても廃車(名義の抹消)手続きを行うことができます。

これをやらない限りバイクが物理的にこの世から消えていても、税金だけは一生請求され続けることになります。もし心当たりがある方は、今すぐ役所に相談してください。

「無料」が「数万円」に変わる、恐怖の豹変シナリオ

バイクの名義トラブル以外にも、無料回収車には「その場での金銭トラブル」が付きまといます。荷物をトラックに積み込んだ直後に発生する「高額請求」です。彼らは最初、笑顔で「なんでもいいですよ、積んでください」と促します。しかし、作業が終わり、後戻りできない状態になった瞬間に態度が豹変します。

「この家電は無料回収の対象外です」「これはリサイクル料金と運搬費がかかります」「荷台に積む作業代は別です」……。次々と理由をつけて、当初の「無料」という約束はどこへやら、数万円から、時には10万円を超えるような法外な金額を請求してくるのです。

「話が違うじゃないか」と反論しても、「もう積み込んでしまった」「下ろすならまた作業料をいただく」と脅しに近い口調で迫られることもあります。密室に近い状況や玄関先での威圧的な態度に恐怖を感じ、不本意ながら支払ってしまうケースが後を絶ちません。

幸い私が会った回収業者はこのようなことはありませんでした。

「古物商許可」ではゴミを捨てられない?法律の壁

こうした業者の多くは、トラックに「古物商許可」というプレートを掲げています。「許可があるなら安心」と思うかもしれませんが、ここが大きな落とし穴です。

家庭から出る「ゴミ(廃棄物)」を回収するには、自治体が発行する「一般廃棄物収集運搬業」という許可が絶対に必要です。しかし、この許可は新規取得が非常に難しく、巡回業者のほとんどはこの許可を持っていません。彼らが持つ「古物商許可」は、あくまで「中古品を買い取る」ためのもの。お金を取ってゴミを引き取る権利は彼らにはないのです。これは明確な法律違反(廃棄物処理法違反)です。

あなたの捨てたゴミが「犯罪」の一部になるリスク

さらに恐ろしいのは、引き取られた不用品の「その後」です。正当な処理ルートを持たない業者は、価値のある金属だけを抜き取り、残りを山林などに「不法投棄」することがあります。もし、捨てられたゴミからあなたの個人情報が見つかれば、あなた自身が警察の取り調べを受ける可能性すらあります。また、鉛や水銀などの有害物質が環境を汚染する原因にもなります。これをされる可能性は低いかもしれませんが、そのぐらいのリスクは覚悟しないといけないということです。

長崎市で賢く安全に不用品を捨てるための「3つの正攻法」

無料回収車の甘い誘い文句に乗らず、トラブルを未然に防ぐためには、長崎市が定めた公式なルールを知っておくことが最大の防御です。2026年現在、長崎市が推奨する不用品の処分方法は、大きく分けて以下の3つ。自分の状況(急ぎか、安さ重視か、まだ使えるか)に合わせて選ぶのがスマートな選択です。

1. 市の委託業者に依頼する(最も一般的な方法)

各家庭から出る、指定ごみ袋に入らない大きなごみは「粗大ごみ」として申し込めます。ただし、長崎市では「1回の収集につき2個まで」という制限がある点に注意が必要です。また、収集までに1〜2週間かかるため、余裕を持ったスケジュールが欠かせません。

  • 申し込み先:長崎市環境整備事業協同組合(電話:095-801-2200)※全市統一。
  • 受付時間:月〜金 午前8時〜午後4時15分(祝日を除く)。
  • ステッカーの購入:申し込み後に案内された金額のステッカーを、銀行や郵便局(15時〜16時まで)で購入します。コンビニでは買えない点に注意が必要です。
  • 料金:サイズ・重さに応じて523円、または1,047円の2種類です。

念のために長崎市のURLも添付しておきます。
https://www.city.nagasaki.lg.jp/page/3031.html

2. 捨てる前に「ジモティー」でリユースを検討する

「自分はいらないけれど、捨てるのはもったいない」。そんな時、長崎市が公式に連携しているのが地域掲示板サイト「ジモティー」です。これはウェブ会社としても非常に注目しているUX(顧客体験)で、自治体が「捨てる」だけでなく「譲り合う」という循環型社会(リユース)を後押ししています。

ジモティーを活用すれば、最短当日中に近所の方が引き取りに来てくれることもあり、処分費用をかけずに済みます。ウェブを賢く使って、誰かの役に立ちながら片付ける。これこそが現代的な不用品処分の形です。

3. 大量のごみや急ぎの場合は「直接搬入」か「許可業者」へ

引越しなどで2個以上の大量のごみが出る場合や、2週間も待てないという場合は、以下のいずれかの方法を選びます。これなら無料回収車のような不透明な請求に怯える必要はありません。

  • 自ら処理場へ搬入する:車両がある場合は「自己搬入」が最もスピーディーです。
  • 専門の許可業者に依頼する:長崎市が認定した「一般廃棄物収集運搬業許可業者」に依頼すれば、家の中からの運び出しも相談可能です。※必ず市の名簿に載っている業者を選んでください。

【重要】市では回収できない「要注意」のアイテム

どんなに困っていても、以下のものは長崎市の粗大ごみ収集には出せません。これらを「なんでも回収します」と言う業者は、ほぼ間違いなく無許可業者です。

  • 家電リサイクル法対象品:テレビ、エアコン、冷蔵庫、洗濯機。これらは購入店か買い替え店に相談するか、専門の許可業者へ依頼が必要です。
  • パソコン:法律に基づき、メーカーや市の連携業者が回収します。

「無料回収」のトラックにバイクを預けて、結局名義が変わらずに税金だけ払い続けた私の苦い経験からも、こうした「公式なルート」を通すことの大切さを痛感しています。長崎市のルールでは、ステッカーに「リユース不可」と書けば再利用を止めることもできるなど、細かな配慮もなされています。正しい知識を持って、安心・安全な片付けを行いましょう!

まとめ:「ただより高いものはない」を胸に刻む

街を巡る無料回収車のスピーカー音。それは「面倒を避けたい」という私たちの心の隙間に優しく入り込んできます。しかし、私のバイクの例のように、その場では楽ができても、後から大きな「ツケ」が回ってくるのがこの手のビジネスの正体です。

正当なサービスには、必ず正当な対価(コスト)が発生します。それを支払うことで、私たちは自身の名義を守り、安全を守り、地域の環境を守ることができるのです。もし身近に無料回収車を呼ぼうとしている人がいたら、ぜひ私の「バイクの失敗談」を話して止めてあげてください。

私たちの身の回りを整える「片付け」が、誰かを悲しませる詐欺や環境破壊につながらないよう、正しい知識を持って行動していきましょう(^^)

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この記事を書いた人
T.kawano

T.kawano

宮崎生まれ、宮崎&長崎育ち。長崎西高、長崎大学経済学部卒。
在学中からWeb業に従事して約20年。人生の半分以上をWebに注いできました。

デザインからライティング、撮影、プログラミングまでやっており、専門家としてセミナーをしたり、Webでお困りの方の相談にも乗ってきました。

「話す・作るWebディレクター」として活動中。
器用貧乏を逆手に取り、ITの力を活用して少数精鋭の組織で動いています。

三児と一猫の父。趣味は「お笑い」「アニメ(狭く深く)」「バドミントンとそれに必要なトレーニング」
「優しく」「仕事ができ」「面白い」人間を目指して日々精進中。