【Web屋の考察】ほっともっと愛ゆえに提言したい、ネット注文の「あと一歩」なUX改善案
私たちの強い味方といえば「ほっともっと」ですよね。私も長年お世話になっており、のり弁、からあげ、ビーフ、かつとじ、高菜、カレーやカツやなど、好きなメニューがたくさんあり、あの安定感にはいつも助けられています。特に最近はネット注文が非常に便利になり、店先で待たずに受け取れる体験は、忙しい現代人にとって無くてはならないインフラと言っても過言ではありません。
しかし、Web制作やUI/UX設計をなりわいとする「Web屋」として、実際にネット注文を利用している中で、どうしても気になってしまうポイントがありました。それも1回ならず、2回、3回と同じ箇所で手が止まってしまうのです。これは、もしかすると多くのユーザーが密かに感じているストレスではないか…。今回は、「もっと良くなってほしい!」という改善案を、Webのプロ視点で展開してみたいと思います。
迷い込んだ「メニューの迷宮」:2回繰り返した同じ失敗
私が体験した「引っかかり」は、注文する店舗を選び、その店舗専用のネット注文トップページに辿り着いた時に起こりました。お腹を空かせたユーザー(私)は、当然「さあ、何を食べようか」とメニューを探します。しかし、ここで一つのトラップが待ち構えていたのです。

画面の下部を見ると、分かりやすく「メニュー」というアイコンが並んでいます(添付画像の①)。「お、ここかな」と思ってタップすると、なんと現在選択している「店舗の注文ページ」から離脱してしまい、公式サイト全体のメニュー一覧へと飛ばされてしまいました。そこで改めて食べたいものを選んでも、いざ注文しようとすると「店舗を選択してください」と最初の手順に引き戻されてしまう……。お腹が空いている時のこの「二度手間」は、なかなかの精神的ダメージです。
Webの世界では、こうした「ユーザーが意図した行動とシステムの挙動のズレ」を、文脈(コンテキスト)の分断と呼びます。本来、店舗ページに入った後の「メニュー」ボタンは、その店舗の在庫や状況に基づいた「注文可能なメニュー」を指し示すべきですが、現状のUIでは「情報のカタログ」へのリンクとして機能してしまっているようです。
スクロールしないと現れない「隠れたナビゲーション」の謎
では、店舗内のメニューはどこにあるのか? 答えは「少しスクロールした後」にありました。トップ画面を少し下に動かすと、上部のロゴの下あたりにようやくカテゴリ分けされたメニューバーが出現する仕組みになっています。しかし、この挙動にもWeb屋としていくつかの改善の余地を感じました。

1. 「最初から見えない」ことのリスク
2026年現在のスマホユーザーは、ファーストビュー(画面を開いた時に最初に見える範囲)で自分の目的が達成できるかどうかを瞬時に判断します。メニューバーが隠れていると、ユーザーは「このページにはメニューがないのかな?」と不安になり、前述した下部の「メニュー」アイコンを誤って押してしまう可能性が高まります。最初からカテゴリの一部が見えているだけで、この迷いは払拭できるはずです。
2. 横スクロールの存在感と「レギュラー」の影
ようやく現れたメニューバーも、「今月のおすすめ商品」「今月のおすすめサイドメニュー」といった旬な情報が左側に優先的に配置されています。もちろん販促としては正しいのですが、実はその右側には「レギュラーメニュー」が隠れています。しかし、スマホの横スクロールバーは往々にして見逃されやすく、特に右端が綺麗に切れていると「これ以上右にはメニューがない」と誤認されるリスクがあります。
そして何より、このメニューがボタンっぽくないデザインなのも見逃される原因の1つです。文字も多いですし、ボタンにすると確かに野暮ったくなる可能性があるため、シンプルなリンクにしているのでしょう。しかしそのせいで自分が見たいメニューがどこにあるのか見つけられない可能性が増えてしまうのです。
「カニクリームコロッケ、美味しそうだな」と画像に見惚れているうちに、本来注文したかった定番メニューに辿り着けない……。これは非常にもったいない機会損失と言えるかもしれません。
【Web屋が考える】ネット注文をよりスマートにする3つの改善ポイント
ほっともっとのネット注文がさらに使いやすく、そして「ついもう一品」頼みたくなるような最高なサイトにするために、以下の3つのポイントを提案したいと思います。
改善案①:下部ナビゲーションの「役割」の最適化
店舗選択後の「メニュー」アイコンの挙動を、全体メニューへの遷移ではなく、「その店舗内のカテゴリ一覧(アンカーリンク)」に変更、もしくはモーダルウィンドウでカテゴリをバッと表示する形にしてみてはどうでしょうか。ユーザーの「店舗コンテキスト(今この店で買うんだ)」という意識を維持したままメニューを選べるようになれば、離脱率は劇的に下がるはずです。
改善案②:カテゴリメニューの「パーマネント表示」
スクロールして出現させるのではなく、最初から「おすすめ」「お弁当」「おかずのみ」「サイド」といった主要カテゴリをタブ形式で固定表示(Sticky表示)しておくのが、現代のUXの王道です。これなら、ページを開いた瞬間に「ここを動かせば選べるんだ」という安心感を与えられます。
改善案③:すぐに「メニューのリンク」だと分かるデザインに
現在のシンプルなテキストリンクは、確かに洗練されていて「野暮ったさ」はありません。しかし、Webデザインにおいて最も重要なのは「それがクリック(タップ)できるものだと認識できること(アフォーダンス)」です。文字が並んでいるだけでは、単なる見出しや注釈と区別がつきにくく、特にレギュラーメニューを探しているユーザーを迷わせてしまいます。
改善案としては、例えば「ボタン風の装飾(ピル型や角丸の背景)」にする、あるいは「現在選択中のカテゴリにアンダーラインや色付けをする」といった、視覚的なフィードバックを強めることが有効です。また、右側にまだメニューが続いていることを示すために、右端の文字をあえて半分だけ表示させる(チラ見せ)手法を取り入れることで、自然と横スワイプを促せます。デザインの美しさと「使い勝手」を両立させることで、定番メニューへの到達率も格段に上がるはずです。
中小企業がここから学ぶべき「UXの教訓」
今回の話は、決して大手チェーンだけの問題ではありません。自社のWebサイトやECサイトを運営する中小企業の皆様にとっても、非常に重要な教訓が含まれています。
- 「当たり前」を疑う: 自分が作ったサイトは、自分では使い方が分かっているため欠点に気づきにくいものです。第三者の視点、特にお腹が空いている時のように「少しせっかちなユーザー」の視点で触ってみる必要があります。
- ボタンの「裏切り」を失くす: ユーザーが「こうなるだろう」と思って押したボタンが、全く別の(特に前の工程に戻されるような)挙動をしたとき、信頼は損なわれます。
- スクロールという「コスト」を意識する: 「下にいけば分かる」は、Web制作者の傲慢かもしれません。重要な情報は、スクロールせずとも存在が分かるように配置するのが鉄則です。
まとめ:進化し続ける「ほっともっと」をこれからも応援したい
あれこれと専門的な話をしてしまいましたが、これらも全ては「ほっともっとの弁当を、もっとスムーズに、もっと美味しく食べたい!」という熱烈なファン心からのものです。いつものメニューを迷わず注文できる未来は、すぐそこにあると信じています。
優れたUXは、単に使いやすいだけでなく、サービスへの信頼と愛着を育てます。ほっともっとさんがこれからもデジタルの力で私たちの食卓をより楽しく、便利に彩ってくれることを一ファンとして、そして一Webプロフェッショナルとして、心から応援しています(^^)
