シリーズ『人の心が動く理由』なぜ私たちは「発信する側」の視点になってしまうのか

SNSで投稿する時、ホームページを作る時、商品説明を書く時。私たちは無意識のうちに「伝えたいこと」に集中してしまいます。

「この機能をアピールしたい」 「この技術がすごいんだ」 「こんなサービスを始めました」

しかし、投稿の反応が薄い、問い合わせが来ない、商品が売れない…そんな経験はありませんか?

発信者視点になってしまう3つの理由

1. 自分が一番詳しいという錯覚

私たちは自分の商品やサービスについて、誰よりも詳しく知っています。開発の苦労、こだわりのポイント、競合との違い…すべてを語りたくなります。

でも、受け手はそこまで知りません。いや、知りたくもないかもしれません。

  • 発信者「最新のAI技術を搭載した革新的なシステムです」
  • 受け手が知りたいこと「で、私の作業時間は何分短くなるの?」

2. 熱意が空回りする

自分が情熱を注いだものほど、その熱意を伝えたくなります。でも熱意だけでは人は動きません。

レストランのオーナーが「うちの料理への情熱は誰にも負けません!」と言っても、お客さんが知りたいのは「どんな味なのか」「いくらなのか」「なぜ他店ではなくここを選ぶべきなのか」です。

3. 評価されたい欲求

「認められたい」「すごいと思われたい」という欲求は自然なものです。しかしこの欲求が強すぎると、自己PRばかりの発信になってしまいます。

視点を変えると見えてくるもの

では、受け手の視点に立つとはどういうことでしょうか?

ある美容室の事例

Before(発信者視点): 「当店は20年の実績があり、最新の技術を習得したスタイリストが在籍しています」

After(受け手視点): 「朝の忙しい時間でも、簡単にスタイリングできる髪型をご提案します。次の日の朝が楽になったとお客様から好評です」

何が変わったでしょうか? 「店側の実績」から「お客様の朝の悩み解決」に焦点が移りました。

発信者視点から抜け出すための3つの問い

毎回の発信前に、この3つを自問してみてください:

  1. 「それで?」と言われたらどう答えるか

    • 機能や特徴を述べた後、「だから何?」と問い直す
    • 受け手にとっての価値まで落とし込む
  2. 受け手は今、何に困っているのか

    • スペックではなく、解決したい問題は何か
    • どんな不便や不安を抱えているのか
  3. 受け手が行動した後、どうなっているか

    • 商品を買った後、サービスを使った後の姿をイメージする
    • 「〇〇できるようになった自分」を具体的に描く

なぜこのシリーズを始めるのか

このシリーズでは、「人はなぜ喜ぶのか」「なぜ心が動くのか」を様々な角度から掘り下げていきます。

SNS発信、マーケティング、商品開発、接客…あらゆる場面で「相手の心」を理解することが成果につながります。

発信者視点になりがちな私たち自身への問いかけとして、このシリーズをお届けします。

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この記事を書いた人
T.kawano

T.kawano

宮崎生まれ、宮崎&長崎育ち。長崎西高、長崎大学経済学部卒。
在学中からWeb業に従事して約20年。人生の半分以上をWebに注いできました。

デザインからライティング、撮影、プログラミングまでやっており、専門家としてセミナーをしたり、Webでお困りの方の相談にも乗ってきました。

「話す・作るWebディレクター」として活動中。
器用貧乏を逆手に取り、ITの力を活用して少数精鋭の組織で動いています。

三児と一猫の父。趣味は「お笑い」「アニメ(狭く深く)」「バドミントンとそれに必要なトレーニング」
「優しく」「仕事ができ」「面白い」人間を目指して日々精進中。