WordPressのバージョンアップは必要?~15年の運営経験から考える現実的な対応~

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「WordPressの更新通知が来ているけど、今のところ問題なく動いているし、わざわざアップデートする必要あるの?」そんな疑問を持たれる方は多いのではないでしょうか。

私たちもWordPressサイトの運営を15年ほど続けてきましたが、正直なところ、不正アクセスなどの深刻な被害に遭ったことはほとんどありません。それでも、「なるべくアップデートしておいた方がいい」というのが実際の経験に基づく率直な意見です。

まず確認:今のWordPressバージョンは?

WordPressの管理画面にログインして、ダッシュボードの「概要」を見てください。現在のバージョンが表示されているはずです。最新版との差がどのくらいあるか確認してみましょう。

目安となるバージョン差

  • 0.1〜0.3の差(例:6.4→6.5):それほど急がなくても大丈夫だが、機会があれば更新を
  • 0.5以上の差(例:6.1→6.5):できれば更新を検討
  • 1.0以上の差(例:5.9→6.4):古い状態なので、計画的に更新を

WordPress は年に2〜3回のメジャーアップデートがあるので、1年以上更新していないと、古いバージョンになってしまいます。

古いバージョンのリスクは確かにある

経験上、すぐに大きな被害に遭うことは稀ですが、古いバージョンにはやはりリスクがあります。

セキュリティ面での懸念 古いバージョンには既知の脆弱性があり、理論上は攻撃を受ける可能性があります。ただし、一般的な企業サイトが標的になることは多くありません。

プラグインとの互換性 時間が経つと、新しいプラグインが古いWordPressに対応しなくなることがあります。新機能を追加したい時に制約となる場合があります。

サポート対象外になるリスク あまりに古いバージョンだと、何か問題が起きた時にサポートを受けにくくなることがあります。

保守契約との関係を理解しよう

WordPressサイトの保守契約に入っているかどうかで、対応方法が変わります。

一般的な保守契約の範囲 多くの保守契約では、軽微なアップデート(セキュリティ修正など)は含まれていることはありますが、メジャーバージョンアップは別料金となることが多いです。

なぜ別料金になるのか WordPressのメジャーバージョンアップは大がかりな作業になることが多く、テストや調整に時間がかかるためです。通常の保守作業とは作業量が大きく異なります。

バージョンアップの費用感

WordPressのバージョンアップを専門業者に依頼する場合の一般的な費用感をお伝えします。

基本的なサイト、もしくはアップデート幅が小さい場合:3〜8万円程度

  • シンプルな企業サイト
  • プラグイン数が少ない
  • カスタマイズが最小限

中規模サイト、もしくはアップデート幅がある程度必要な場合:8〜15万円程度

  • 複数のプラグインを使用
  • ある程度のカスタマイズがある
  • お問い合わせフォームやギャラリー機能など

複雑なサイト、もしくは大幅なアップデートが必要な場合:15〜30万円程度

  • 大幅なカスタマイズがある
  • ECサイト機能がある
  • 会員機能などの複雑な仕組み

費用は、アップデートの幅、サイトの複雑さ、使用しているプラグイン数、カスタマイズの度合いによって大きく変わります。

バージョンアップに含まれる作業

バージョンアップは更新1ボタンつでできる機能があるのですが、それを押してしまうと取り返しのつかないことになるので絶対に辞めてください。

バージョンアップをするとサーバー、php、MySQLやプラグインなどのバージョンと合わなくなり、サイトが表示しなくなるケースもたくさんあります。

上記で挙げた費用には、以下のような作業が含まれています。

事前調査・準備

  • 現在の環境調査
  • プラグイン・テーマの互換性確認
  • バックアップの取得
  • テスト環境の構築

アップデート作業

  • WordPressコアの更新
  • プラグイン・テーマの調整
  • 設定ファイルの更新
  • データベースの調整

動作確認・調整

  • ページの表示確認
  • 機能動作のテスト
  • 不具合の修正
  • 最終調整

※内容は状況やプランによっても変わります。

現実的な判断基準

15年の経験を踏まえて、現実的な判断基準をお伝えします。

早めに検討した方がいいケース

  • メジャーバージョンが2つ以上古い
  • 新しい機能を追加したい予定がある
  • サイトのリニューアルを検討している
  • セキュリティを特に重視したい業種

それほど急がなくてもいいケース

  • 現在正常に動作している
  • 特に新機能の追加予定がない
  • シンプルなサイト構成
  • 定期的なバックアップを取っている

専門家に相談するタイミング

以下のような場合は、専門家に相談されることをお勧めします。

技術的な判断が必要な時 自分でアップデートするか業者に依頼するかの判断は、サイトの複雑さによって変わります。

計画的な対応をしたい時 リニューアルと合わせて行うなど、タイミングを調整することで費用を抑えられる場合があります。

トラブルを避けたい時 大切な時期(繁忙期など)にトラブルを避けたい場合は、プロに任せた方が安心です。

リニューアルをした方が安くて早い場合もある WordPressのアップデートをするよりも、新しいサイトとしてリニューアルをする方が早く、安い場合も多いです。イメージとしては古い家の基礎をやりなおしたり増改築をするよりも、新しい土地に家を建てる方が早い、安いといった考えに近いですね。

まとめ

WordPressのバージョンアップは「絶対にすぐやらなければ危険」というものではありませんが、「なるべく新しい状態を保っておいた方がいい」というのが正直なところです。

ただし、バージョンアップには相応の費用がかかることも事実です。サイトの重要度、予算、タイミングを総合的に考えて、計画的に進めることが大切です。

「今すぐ必要かどうか分からない」「費用がどのくらいかかるか知りたい」といったご相談でも構いません。お気軽にお声がけください。サイトの状況を確認した上で、最適なタイミングとプランをご提案いたします(^^)

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この記事を書いた人
T.kawano

T.kawano

宮崎生まれ、宮崎&長崎育ち。長崎西高、長崎大学経済学部卒。
在学中からWeb業に従事して約20年。人生の半分以上をWebに注いできました。

デザインからライティング、撮影、プログラミングまでやっており、専門家としてセミナーをしたり、Webでお困りの方の相談にも乗ってきました。

「話す・作るWebディレクター」として活動中。
器用貧乏を逆手に取り、ITの力を活用して少数精鋭の組織で動いています。

三児と一猫の父。趣味は「お笑い」「アニメ(狭く深く)」「バドミントンとそれに必要なトレーニング」
「優しく」「仕事ができ」「面白い」人間を目指して日々精進中。