参院選で見えたSNSの影響力~デジタル情報と投票行動の関係~
先日行われた参院選の出口調査結果から、興味深いデータが発表されました。
時事通信の調査によると、投票先を決める際にSNSや動画サイトを「参考にした」人が46.9%に上ったそうです。ほぼ半数の有権者がデジタル情報を判断材料にしているという結果に、情報伝達手段の変化を感じずにはいられません。
約半数がSNS・動画を参考に
調査結果を詳しく見てみると、「参考にした」が24.9%、「ある程度参考にした」が22.0%で、合わせて46.9%。一方で「参考にしなかった」は50.0%となっています。
この数字を見ると、有権者がちょうど二分されているような状況ですね。従来のテレビや新聞などのメディアを中心に情報収集する層と、SNSや動画サイトも活用する層に分かれているのかもしれません。
特に注目すべきは、SNSや動画を参考にした人とそうでない人で、投票行動に明確な違いが見られることです。SNSや動画を参考にした人の投票先では参政党が23.9%でトップとなり、国民民主党16.5%、自民党11.5%と続きました。一方、参考にしなかった人では自民党が28.5%でトップ、立憲民主党17.4%という結果になっています。
情報収集手段の多様化
今回の選挙でも、各党がSNSや動画サイトでの発信に力を入れていたようです。記事によると、一般の投稿者による「切り抜き動画」なども多く見られたとのこと。候補者や政党が直接発信する情報だけでなく、それを加工・編集した二次的なコンテンツも影響力を持っているということですね。
この現象は、政治の世界に限った話ではありません。商品やサービスについても、公式の情報だけでなく、ユーザーが作成したレビュー動画やSNS投稿が購買行動に大きな影響を与えるようになっています。情報の発信者と受信者の関係が、従来とは大きく変わってきているのを感じます。
デジタル情報の特性を理解する重要性
SNSや動画サイトの情報には、従来のメディアとは異なる特性があります。
まず、情報の伝播速度が非常に速いこと。話題になった情報は短時間で多くの人に拡散されます。また、アルゴリズムによって、ユーザーの関心や過去の行動履歴に基づいて情報が表示されるため、似たような考えの人たちの意見に触れやすくなる傾向があります。
さらに、誰でも情報発信できる手軽さがある一方で、情報の正確性や信頼性を判断するのが難しい場合もあります。「切り抜き動画」のように、元の発言の一部だけを切り取った情報は、文脈によって全く違う印象を与えることもあります。
情報リテラシーの大切さ
今回の調査結果は、現代の情報社会における課題も浮き彫りにしています。
SNSや動画サイトは確かに有益な情報源ですが、そこで得た情報をどう判断するかは受け取る側の責任でもあります。複数の情報源を比較検討したり、元の情報を確認したり、情報の背景を理解したりする姿勢が重要です。
これは政治の情報に限らず、商品の口コミ、健康情報、ニュースなど、あらゆる分野で言えることです。情報が豊富にある時代だからこそ、その情報を適切に評価する能力が求められています。
バランスの取れた情報収集を
デジタル情報の影響力が高まる一方で、従来のメディアの価値が失われたわけではありません。
新聞、テレビ、雑誌などは、事実確認や取材に基づいた信頼性の高い情報を提供してくれます。SNSの情報と合わせて、多角的に情報を収集することで、より正確な判断ができるのではないでしょうか。
今回の参院選の結果は、私たちが情報との付き合い方を見直すきっかけにもなりそうです。便利で手軽なデジタル情報を活用しながらも、その特性を理解し、適切に判断する姿勢を持ち続けたいものです。
情報化社会の進展とともに、私たち一人ひとりの情報リテラシーがますます重要になってきていることを改めて感じました (^^)