「長崎ランタンフェスティバル」で知る歴史の深みと文化の絆

写真は「ながさき旅ネット」より
今年もついに、長崎の街を極彩色に染め上げる「2026長崎ランタンフェスティバル」が開催されます。開催期間は2月6日(金)から2月23日(月・祝)までの18日間。実は2026年から、これまで旧暦に合わせていた日程を「2月の第1金曜日から17日間」に固定する新運用がスタートしており、今年は祝日の関係で1日延長された特別なスケジュールとなっています。
私自身はそんなに興味がなく、最後に行ったのは子どもを連れていった数年前のことでした。以前はただ「綺麗だな」「屋台が楽しみだな」という、いわゆる“お祭り気分”だけで参加していました。せっかくですので、しかし、この時代に開催されるこの祭りを前に、地元民としてその「深み」をちゃんと知っておきたいという欲求が湧いてきました。今回は最新の公式情報を元に、その魅力と歴史的背景を紐解いてみましょう。
お祭り騒ぎの裏側にある「1994年」のターニングポイント
私たちが当たり前のように楽しんでいる「ランフェス」ですが、実は現在の形になってからまだ30年ちょっとしか経っていないことをご存知でしょうか。もともとは長崎新地中華街の人々が、街の振興のために中国の旧正月(春節)を祝う「春節祭」として始めたものでした。それが1994年(平成6年)に規模を拡大し、市全体を挙げた「長崎ランタンフェスティバル」へと生まれ変わったのです。今や期間中に約100万人が訪れる一大イベントとなりましたが、そのルーツは華僑の方々の身内のお祝いだったのですね。
今回の固定スケジュール化もそうですが、伝統を大切にしながらも、観光客の利便性や天候を考慮して柔軟に姿を変えていく。この「生存戦略」こそ、長崎という街が持つ強かさ(したたかさ)であり、今のビジネスシーンにも通じる「適応力」だと感じます。
ただのパレードではない「媽祖(まそ)行列」の神聖さ
華やかな「皇帝パレード」は誰もが知る目玉イベントですが、より深くこの祭りを理解するために注目したいのが「媽祖(まそ)行列」です。2026年は2月8日(日)と2月15日(日)に開催されます。
これは江戸時代、長崎に入港した唐船の乗組員たちが実際に行っていた儀式を再現したものです。航海安全の女神である「媽祖」を、船から降ろして唐寺の媽祖堂に安置するまでの行列です。煌びやかな皇帝パレードが賑やかな「祝祭」なら、媽祖行列は静かな「祈り」の儀式。荒れ狂う海を越えてやってきた先人たちの感謝と敬意が、この一歩一歩に込められています。今年は少し立ち止まって、その歴史の重みを感じてみるのも一興ではないでしょうか。
2026年の注目:山口蛍選手に前原瑞樹さん、そして「龍馬精神」
もちろん、2026年はエンターテインメントとしての見どころも満載です。2年ぶりに新調される湊公園のメインオブジェは、干支の馬と龍を組み合わせた「龍馬精神(ロンマー・ジンシェン)」。高さ11メートルという圧倒的なスケールで、長崎市のふるさと納税基金を活用して製作されたという点も、地元愛を感じるエピソードです。また、2月7日(土)には県庁跡地で、夜空にランタンが舞う幻想的なイベントも予定されています。
そして、誰もが注目する「皇帝パレード」の配役も豪華です。
- 2月14日(土):皇帝役にV・ファーレン長崎のキャプテン、山口蛍選手が就任。アスリートらしい凛々しい姿に期待が高まります。
- 2月21日(土):皇帝役は長崎市出身の俳優、前原瑞樹さん。そして皇后役には俳優・レポーターとして活躍する安部ナナミさんが登場。地元ゆかりの顔ぶれが街を盛り上げます。
中国情勢と「文化の灯火」:なぜ今、開催するのか
現在の国際情勢を鑑みると、日本と中国の関係は決して穏やかとは言えない局面が続いています。ニュースでも「日中関係の影響が懸念される中での開催決定」と報じられることがあります。しかし、長崎ランタンフェスティバル実行委員会が開催を揺るがせないのは、数百年続いてきた「人と人、文化と文化の繋がり」は政治とは別のレイヤーにあると考えているからではないでしょうか。
かつて出島や唐人屋敷を通して、日本で唯一世界に窓を開いていた長崎。異なる文化を混ぜ合わせ自分たちのものにしてきた「ちゃんぽん精神」は、分断が進む現代社会においてこそ、私たちが再発見すべきビジネススキルであり生き方だと思います。約1万5,000個のランタンは、単なる電飾ではありません。文化交流の灯を絶やさないという長崎人の意地と、平和への願いの現れなのです。
まとめ:地元民だからこそ味わえる「光と祈り」
今年のランタンフェスティバル。眼鏡橋周辺を彩る黄色いランタンや、中島川の水面に反射する幻想的な光、そして湊公園の迫力ある大型オブジェ。ただ「綺麗だね」で終わらせるには、あまりにもったいない深みがそこにはあります。
1994年の拡大から30年以上。私たちがこの赤い光の下で角煮まんじゅうを頬張れるのは、歴史を守ってきた華僑の方々とそれを受け入れた長崎市民の歩みがあるからです。皆さんもぜひ今年は「媽祖行列」の足音を聞き皇帝の威厳に触れ、そして何より長崎が持つ「寛容な心」を感じながら、街を歩いてみませんか(^^)
