「メールが届かない」の原因と対処法。IPレピュテーション制限で起きたトラブル事例
クライアントから「メールが送れないんですが…」というご相談をいただきました。
送信しようとすると、英語でエラーメッセージが返ってきて、何が起きているのか分からないとのこと。実際に送られてきたエラーメッセージを確認してみると、なかなか厄介な問題でした。
今回は、この事例を通じて「メールが届かない」トラブルの原因と対処法について解説してみたいと思います。
実際に送られてきたエラーメッセージ
今回のエラーメッセージは以下のような内容でした(個人情報は削除しています)
From: Mail Delivery System <MAILER-DAEMON@mail-proxy×××.phy.heteml.jp>
Subject: Undelivered Mail Returned to Sender
This is the mail system at host mail-proxy×××.phy.heteml.jp.
I'm sorry to have to inform you that your message could not be
delivered to one or more recipients.
<example@outlook.jp>: host apc.olc.protection.outlook.com[×××.×××.×××.×××]
said: 451 4.7.650 The mail server [×××.×××.×××.×××] has been temporarily
rate limited due to IP reputation. For e-mail delivery information, see
https://postmaster.live.com (S775)
パッと見ると、英語ばかりで「何のこっちゃ?」という感じですが、重要なキーワードが含まれています。
エラーメッセージの読み解き方
今回のエラーメッセージのポイントは「451 4.7.650 The mail server has been temporarily rate limited due to IP reputation」の部分です。
これを日本語に翻訳すると: 「メールサーバーがIPレピュテーション(IP評価)により一時的に送信制限されています」
つまり、使用しているメールサーバーの「評判」が悪くなってしまい、Outlook(Microsoft)側で受信を制限している状態だということです。
「IP reputation」って何?
IP reputation(IPレピュテーション)とは、簡単に言うと「そのIPアドレスの信頼度」のことです。
メールサーバーには固有のIPアドレスが割り当てられていて、そのIPアドレスから
- スパムメールが大量に送信される
- 迷惑メールが頻繁に送られる
- ウイルス感染したメールが配信される
といった問題が発生すると、そのIPアドレスの「評判」が下がってしまいます。
共用サーバーを使っている場合、自分は適切にメールを送っていても、同じサーバーを使っている他のユーザーが問題のあるメールを送信すると、巻き添えで制限を受けてしまうことがあるんです。
今回のケースで考えられる原因
-
共用サーバーでの巻き添え 同じメールサーバーを使っている他のユーザーがスパムメールを送信した可能性
-
短時間での大量送信 メルマガなどで一度に大量のメールを送信した場合
-
メール設定の問題 SPF、DKIM、DMARCなどのメール認証設定に不備がある場合
-
過去の送信履歴 以前に迷惑メール扱いされた履歴がある場合
実際の対処方法
1. まずはサーバー会社に相談
今回のような「IP reputation」の問題は、個人では解決が困難です。まずは使用しているサーバー会社(この場合はheteml)に連絡して、状況を報告しましょう。
サーバー会社側で
- IPアドレスの状況確認
- 制限解除の申請
- 必要に応じてIPアドレスの変更
といった対応をしてもらえる場合があります。
2. 受信側への直接連絡
緊急性が高い場合は、メール以外の方法(電話、FAX、郵送など)で相手に連絡を取り、事情を説明しましょう。
3. 別の送信方法を検討
- 別のメールアドレスから送信
- Gmailなどのフリーメールを一時的に利用
- メール配信サービスの利用
4. メール認証設定の見直し
SPF、DKIM、DMARCなどのメール認証設定を確認し、適切に設定されているかチェックしましょう。
予防策として心がけたいこと
信頼できるメールサーバーを選ぶ
安いからといって評判の良くないサーバーを選ぶと、このような問題に巻き込まれるリスクが高くなります。
メール送信のマナーを守る
- 一度に大量のメールを送信しない
- 相手の同意を得ていないメールは送らない
- 配信停止の仕組みを用意する
定期的な設定確認
メール認証設定は定期的に確認し、問題がないかチェックしましょう。
こんな時こそ専門家に相談を
今回のようなメールトラブルは、技術的な知識がないと対処が困難です。エラーメッセージが英語で書かれていることも多く、「何が起きているのか分からない」という状況になりがちです。
メールは現在でもビジネスの重要なコミュニケーション手段です。トラブルが発生した時は、一人で悩まずに専門家に相談することをお勧めします。
まとめ
今回の事例のように、メールが送れない原因は様々です。「急にメールが送れなくなった」という場合は
- エラーメッセージの内容を確認
- サーバー会社に状況を報告
- 別の連絡手段で相手に事情説明
- 専門家に相談して根本的な解決を図る
という流れで対応することが大切です。
メールトラブルは予期せず発生することが多いですが、適切な対処法を知っていれば慌てずに済みます。皆さんも、万が一の時のために、このような情報を頭の片隅に置いておいていただければと思います(^^)