すかいらーく版タイミー?自社専用スキマバイトアプリ「スポクル」が示す、プラットフォーム脱却の戦略

Web業界に身を置いていると、新しいWebサービスやアプリの動向にはつい敏感になってしまいますが、最近「これは面白い戦略だな」と思ったものがあります。それが、ファミレス最大手のすかいらーくグループが展開しているスキマバイトアプリ「スポクル(スポットクルー)」です。
最近、巷でタイミーというアプリで色々な所で隙間時間を活用したバイトができるサービスがあるのを認識していました。
「タイミー(Timee)」に代表されるスキマバイト市場が急拡大する中で、あえて自社専用のプラットフォームを構築したすかいらーく。今回は、この「スポクル」が一体どのようなサービスなのか、そしてWeb業者目線で見た「自社開発の意義」について深掘りしてみたいと思います。
あ、別にすかいらーくの回し者ではないですよ!ガストのチーズINハンバーグは死ぬほど好きですが、この仕組みに興味を持って深掘りしたいと思っただけです(^^)
「スポクル」とは? 3時間前でも応募できる超・機動力型バイト
「スポクル」は、一言で言えばすかいらーくグループの店舗限定で働ける、単発・短時間バイトの求人アプリです。ガスト、バーミヤン、しゃぶ葉、ジョナサンといった全国約2,600店舗の求人が掲載されており、1日単位、それこそ数時間のスキマ時間で働くことができます。
最大の特徴は、その「手軽さ」と「スピード感」です。
- 履歴書・面接は一切不要(アプリ登録のみで完結)
- 最短、勤務の3時間前まで応募可能
- 給与は最短で翌日に振込
まさに「今、暇になったからちょっとバーミヤンで働いてくるわ」という働き方が現実のものになっているわけです。もともとは社内スタッフの「他店舗ヘルプ」を円滑にするための仕組みとしてスタートしたそうですが、その利便性の高さから一般向けにも開放され、今や大きな注目を集めています。
「タイミー」のすかいらーく版に見えるが、決定的な違いは何か?
仕組みだけを見ると「タイミーのすかいらーく限定版」と思われがちですが、実際に調べてみると、そこには「自社専用」だからこその強みが凝縮されています。
1. オペレーションの共通化による「即戦力化」
外部のスキマバイトアプリの場合、働き手は「今日は居酒屋、明日は倉庫」と、毎回異なるルールを覚える必要があります。しかしスポクルは、働く場所がすべて「すかいらーくグループ」です。一度ガストでキッチンの基本を覚えれば、バーミヤンに行っても「タブレットでの注文管理」や「片付けのルール」など、共通の仕組みが多いため、教育コストが極限まで抑えられています。つまり、「店舗側」がスポットで働くのを受け入れやすいということですね!
2. 採用コスト(手数料)の圧倒的な削減
ここがビジネスモデルとして非常に面白い点です。通常、タイミーなどの外部プラットフォームを利用すると、企業側はワーカーに支払う給与の30%前後を手数料としてプラットフォーム側に支払う必要があります。自社アプリであるスポクルなら、この莫大な中間マージンをカットできるわけです。この「手数料浮き」分を、ワーカーへの賃金アップやキャンペーンに還元できるのは大きなアドバンテージです。
3. データの資産化と「囲い込み」
外部アプリ経由だと、ワーカーのデータはプラットフォーム側に蓄積されます。しかしスポクルなら、「どの地域のどの店舗に、どんなスキルを持った人が集まりやすいか」という貴重なデータを自社で直接保有できます。これは将来的な人員配置の最適化において、計り知れない価値を持ちます。
Web業者視点で見る「スポクル」のUI/UXと技術的な面白さ
さて、ここからはウェブ業者の視点で「スポクル」を眺めてみましょう。このアプリのUI(ユーザーインターフェース)やシステム構成には、サービスを円滑に回すための工夫が随所に見られます。
オンボーディングUXの極致
初めてその店舗に行く人が、到着してすぐに業務に入れるようにするには、アプリ側のオンボーディング(導入支援)が極めて重要です。スポクルでは、店舗到着時のQRコードによるチェックイン、業務マニュアルの事前閲覧、そして終了後の評価までが一本の導線で繋がっています。この「迷わせないUX」は、店舗側の「教える手間」を減らすための必須条件と言えるでしょう。
基幹システムとの高度なAPI連携
おそらく裏側では、すかいらーくが長年運用してきた膨大な勤怠管理システムや給与計算システムと、APIでリアルタイムに連携しているはずです。単発バイト特有の「翌日払い」を実現するためには、店舗での実績確認から振込指示までを自動化する必要があり、このシステム的な統合の深さは自社開発ならではの強みです。
「ゲーミフィケーション」によるファン化
スポクルには、勤務実績に応じてバッジがもらえたり、ランクが上がったりといった「ゲーミフィケーション」の要素が取り入れられる傾向にあります。これはWebサービスにおいて「継続利用(リテンション)」を高める定番の手法ですが、これをリアルの「労働」と組み合わせることで、単なるアルバイトを「やり込み要素のある体験」に変貌させています。
他にも発見!「スポクル」の隠れたメリット
調査を進めると、利用者にとって見逃せないメリットが他にもありました。
- 「高校生OK」という間口の広さ:多くのスキマバイトアプリは18歳以上(高校生不可)であることが多いですが、スポクルは高校生の利用も可能です。
- 従業員割引(まかない)の適用:働いた日は、ガストやバーミヤンのメニューを従業員価格(25%OFF券の配布など)で楽しめます。これは「実質的な報酬」として、特に学生層には非常に強力なインセンティブになります。
- 「体験入店」としての機能:一度スポクルで働いてみて、店の雰囲気が気に入ったらそのまま「レギュラーバイト」として採用される道も用意されています。ミスマッチを防ぐ究極の採用ツールとしても機能しているのです。
まとめ:プラットフォームに頼らない「自社経済圏」の構築
すかいらーくの「スポクル」という試みは、Webマーケティングの視点で見ても非常に示唆に富んでいます。現在は「プラットフォーム(GAFAや国内の巨大アプリ)に集客を頼る」のが当たり前の時代ですが、体力のある企業が自社でプラットフォームを持ち、顧客(または働き手)と直接つながることの強力さを改めて見せつけられました。
私たちウェブ業者がお客様に提案する際も、こういった考え方も持っておいた上でどの選択肢にするか
「利便性」と「自社利益」、そして「データ活用」。そのすべてを高い次元で融合させたスポクル。これからファミレスで働く人たちの景色が、このアプリ一つで大きく変わっていくのかもしれませんね。私も一度、時間を作って「ガスト」で働く体験をして、そのUXを実体験してみようかな……なんて思ってしまいました♪
この仕組みの良い所は、隙間時間をお金に換えるだけでなく、そこで働くという体験も手に入れることができます。自分の視野を広げ、適正を見つけることができる。そんなメリットもあるなと思いました!
新しい技術や仕組みが、リアルの労働環境をどう変えていくのか。これからもウォッチし続けていきたいと思います(^^)
