ホームページのフォント、今と昔で何が変わった?

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フォントって知っていますか?ウェブをやってる人ならもちろんですが、やっていない方でも聞いたことがある人もいると思います。

フォントとは、文字の書体デザインのことです。同じ「あ」という文字でも、ゴシック体で書くか、明朝体で書くかで、印象が全然違いますよね。
ゴシック体は線の太さが均一で、現代的でカジュアルな印象を与えます。Webサイトの本文やナビゲーションによく使われます。
明朝体は横線が細く、縦線が太い、いわゆる「とめ・はね・はらい」のある書体です。上品で落ち着いた印象があり、新聞や書籍でよく使われます。
他にも、丸ゴシック、筆記体、ポップ体など、様々なフォントがあります。それぞれが異なる雰囲気を持っていて、使う場面によって選ぶことで、見た目の印象を大きく変えることができるんです。
つまり、フォント選びは単なる「文字の見た目」ではなく、「どんな印象を与えたいか」というデザインの重要な要素なんです。

昔はMSゴシックとMS明朝だけだった

少し前まで、ホームページで使えるフォントは限られていました。

基本的には以下のようなデバイスフォントだけでした。

  • MS Pゴシック
  • MS P明朝
  • メイリオ
  • ヒラギノ角ゴシック(Mac)

デバイスフォントとは、パソコンやスマホに最初からインストールされているフォントのことです。

CSSである特定のフォントを指定しても、見ている人のパソコンにそのフォントがインストールされていなければ、別のフォントで表示されてしまいます。

つまり、Windows、Mac、スマホ、それぞれで見た目が違ってしまうんです。

デザイン性を求めると画像にするしかなかった

「もっとおしゃれなフォントを使いたい!」

そう思ったら、昔は文字を画像にするしかありませんでした。

Photoshopなどで好きなフォントを使って文字を作り、それを画像として保存してホームページに貼り付ける。見出しやキャッチコピーなどは、ほとんどがこの方法でした。

でも、これには大きな問題がありました。

画像データの問題点

文字を画像にすると、いくつかの困ったことが起きます。

修正が大変です。誤字を見つけた時、画像を作り直してアップロードし直さなければなりません。「今すぐ直したい!」と思っても、時間がかかってしまいます。

SEO(検索エンジン対策)に不利です。Googleなどの検索エンジンは、画像の中の文字を読むことができません。せっかく良い内容を書いても、検索されにくくなってしまうんです。

容量が大きいです。画像ファイルは、テキストデータに比べてファイルサイズが大きくなります。ページの読み込みが遅くなり、見ている人にストレスを与えてしまいます。

レスポンシブ対応が難しいです。パソコンとスマホで画面サイズが違うので、それぞれに合わせた画像を用意する必要がありました。

ウェブフォントの登場

そこに登場したのが「ウェブフォント」です。

ウェブフォントとは、インターネット上のサーバーに置かれたフォントデータを読み込んで、ホームページ上で表示する技術のことです。

仕組みはこうです。

従来のデバイスフォントの場合、見ている人のパソコンにインストールされているフォントを使って文字を表示していました。

でもウェブフォントは、Google Fontsなどのサーバーからフォントデータをダウンロードして表示します。だから、見ている人のパソコンに何がインストールされているかに関係なく、同じフォントで表示できるんです。

ウェブフォントのメリット

ウェブフォントには、たくさんのメリットがあります。

どのデバイスでも同じフォントで表示される。Windows、Mac、スマホ、どれで見ても同じデザインを表現できます。

テキストデータのまま。画像ではなくテキストなので、検索エンジンがちゃんと読み取ってくれます。SEO対策にも有利です。

修正が簡単。HTMLやCSSを修正するだけで、すぐに変更できます。画像を作り直す必要はありません。

解像度が劣化しない。拡大しても文字がぼやけることがありません。どんなサイズでも美しく表示されます。

色やサイズの変更が簡単。CSSで自由に変更できます。マウスオーバー時に色を変えるなど、動きのあるデザインも可能です。

Google Fontsの登場

中でも画期的だったのが、Googleが提供する「Google Fonts」です。

Google Fontsは完全無料で使えて、商用利用もOKです。現在では1,000種類以上のフォントが用意されており、日本語フォントも50種類以上あります。私が知った数年前はまだ日本語フォントは5種類ぐらいしかなかったので、嬉しい進歩です。Googleさん、ありがとう!

さて、使い方は知識が必要です。

  1. Google Fontsのサイトで使いたいフォントを選ぶ
  2. 表示されたコードをHTMLの<head>タグ内にコピー
  3. CSSでfont-familyを指定する

webの知識がある人にお願いしないとなかなか難しいですが、できる方法があるということを知っておくだけでも違いますよね。

たったこれだけで、おしゃれなフォントが使えるようになります。

ウェブフォントの注意点

もちろん、注意すべき点もあります。

読み込みに時間がかかる。フォントデータをダウンロードする必要があるので、その分ページの表示が少し遅くなります。

特に日本語フォントは、ひらがな、カタカナ、漢字を含むため、英語フォントに比べてファイルサイズが大きいです。例えば「Noto Sans JP」は1ウェイト(太さ)あたり約1.6MBもあります。

使いすぎに注意。たくさんのフォントやウェイトを読み込むと、その分だけページが重くなります。必要最小限に抑えることが大切です。

Googleは1ページあたりの容量を1.6MB程度に抑えることを推奨しています。

今は選択肢が広がった

昔はMSゴシックとMS明朝だけだった世界が、今では数百、数千のフォントから選べるようになりました。

画像にしなくても、テキストのままでおしゃれなデザインができる。修正も簡単で、SEOにも有利。

ウェブフォントの登場で、ホームページ制作の自由度は格段に上がったんです。

テキストデータと画像データの違い

改めて整理すると、文字をどう表示するかには3つの方法があります。

デバイスフォント(テキスト)

  • メリット:軽い、SEOに有利、修正が簡単
  • デメリット:デザインの選択肢が少ない、環境によって表示が変わる

ウェブフォント(テキスト)

  • メリット:デザインの自由度が高い、どの環境でも同じ表示、SEOに有利、修正が簡単
  • デメリット:読み込みに時間がかかる

画像データ

  • メリット:どんなフォントでも使える、デザインの自由度が最も高い
  • デメリット:SEOに不利、修正が大変、容量が大きい、解像度が劣化する

最後に

ホームページのフォント事情は、ここ数年で大きく進化しました。

Google Fontsなどのウェブフォントサービスのおかげで、無料で、簡単に、おしゃれなフォントが使えるようになったんです。

もちろん、すべてをウェブフォントにする必要はありません。読み込み速度とのバランスを考えながら、見出しだけウェブフォントにするなど、使い分けるのが賢い方法です。

「うちのホームページ、もう1エッセンス加えたいな」。そう思ったら、ウェブフォントを試してみてはいかがでしょうか。きっと、印象がガラッと変わりますよ(^^)

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この記事を書いた人
T.kawano

T.kawano

宮崎生まれ、宮崎&長崎育ち。長崎西高、長崎大学経済学部卒。
在学中からWeb業に従事して約20年。人生の半分以上をWebに注いできました。

デザインからライティング、撮影、プログラミングまでやっており、専門家としてセミナーをしたり、Webでお困りの方の相談にも乗ってきました。

「話す・作るWebディレクター」として活動中。
器用貧乏を逆手に取り、ITの力を活用して少数精鋭の組織で動いています。

三児と一猫の父。趣味は「お笑い」「アニメ(狭く深く)」「バドミントンとそれに必要なトレーニング」
「優しく」「仕事ができ」「面白い」人間を目指して日々精進中。