ラーメン店が次々倒産する中で、町中華が生き残る理由とは?
2024年、ラーメン店の倒産が過去最多の72件に達したというニュースが話題になりました。前年の53件から約3割増加し、コスト高や経営難が深刻化しています。
一方で、昭和から続く町中華は今も変わらず営業を続け、地元の人々に愛され続けています。なぜ新しいラーメン専門店が苦境に立たされる中、町中華は生き残ることができるのでしょうか?
その理由を 「コスト構造」「経営スタイル」「地域密着性」の3つの視点から探っていきます。
① 町中華は「家賃負担」がほぼゼロ
新規開業のラーメン店は、多くの場合、商業ビルや繁華街のテナントとして営業するため、毎月の家賃が大きな負担になります。しかし、町中華は 「店舗兼住宅」のケースが多く、これが生存力の大きな違いを生み出しています。
町中華の物件所有率が高い理由
創業者が 自分で建てたor購入した物件で営業している。1階が店舗、2階が自宅の「店舗兼住宅」スタイルローン完済済みのため、家賃負担なしで営業可能。
これに対し、新規のラーメン専門店は… 都心部のテナント家賃が高額(数十万〜100万円/月も) 賃貸契約更新の負担(退去リスクあり) 売上が下がっても家賃は固定で発生。
この「家賃の有無」が、町中華の低コスト経営の大きな強みになっています。
② 原材料費の高騰も影響が少ない
2024年に入り、飲食業界全体が 原材料費の高騰に苦しんでいます。特にラーメン業界では、小麦粉・豚肉・鶏ガラなどの価格上昇が経営を圧迫しています。
主要食材 | 値上がりの理由 |
---|---|
小麦粉(麺・餃子の皮) | 円安・ウクライナ情勢による輸入価格上昇 |
豚肉(チャーシュー・餃子) | 飼料価格の高騰、物流コスト増加 |
鶏ガラ(スープ) | エネルギーコスト増加、供給減 |
醤油・味噌・塩 | 原料輸入コスト増 |
特に 「ラーメン1杯=1000円の壁」という価格の心理的抵抗があり、簡単に値上げできない新規ラーメン店は厳しい状況です。
しかし、町中華は… メニューが多様(ラーメン以外の売上もある) 炒飯・餃子など、麺に依存しない売れ筋がある大量仕入れをしないので、仕入れのリスクが少ない。
そのため、原材料費の高騰はもちろん堪えますが、新規ラーメン店ほど大きくないのです。
③ 光熱費の高騰にも耐えやすい
飲食店の経営を圧迫するもう一つの要因が 電気代・ガス代の値上がりです。
⚡ 町中華とラーメン専門店の光熱費比較
項目 | ラーメン専門店 | 町中華 |
スープの仕込み | 長時間煮込む(ガス代大) | 短時間調理が多い |
炒め調理 | ほぼなし | 中華鍋を使うが短時間調理 |
店内の冷暖房 | 広い店舗が多く電気代大 | 小規模なので電気代が抑えられる |
特に スープの長時間煮込みが必須のラーメン専門店では、ガス代の負担がかなり大きいです。
町中華は炒飯・餃子などの 短時間調理メニューが多く、燃料コストを抑えやすいのも強みですね。
④ 地域密着型経営で「安定した売上」
ラーメン専門店は、SNSや広告で 広範囲から集客するビジネスモデルです。しかし… 遠方からのお客さんは不景気になると減る広告費やSNS運用コストが発生する話題性が落ちると売上が急減する。
一方、町中華は地元の常連客が支えているので…景気の影響を受けにくい広告費ゼロで口コミ集客ができる徒歩圏・自転車圏内のお客さんが固定客になる。
この 「移動しない消費行動」が、町中華の生存力を高めているのです。
町中華は今後も生き残れるのか?
とはいえ、町中華も課題がないわけではありません。
- 店主の高齢化→ 後継者がいない店は自然消滅の可能性
- 設備の老朽化→ 更新コストをどうするか
- 衛生管理の厳格化→ 法規制の対応が求められる
これらの課題を乗り越え、「進化する町中華」になれれば、今後も地域の食文化として生き残る可能性は高いでしょう。
新規ラーメン店が次々と消えていく中、町中華は「生活のインフラ」として暖簾を掲げ続けるのかもしれませんね(^^)
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