諫早の木材リサイクル企業が快挙!「しげるの八番」に学ぶ、中小企業の新規事業戦略

長崎人として、また地元で働くビジネスパーソンとして刺激を受けるニュースがありました。諫早市の木材リサイクル企業「飯盛グリーン開発」が手がけるスパイス「しげるの八番」が、全国の調味料の頂点を決める「調味料選手権2025」のスパイス部門で、見事最優秀賞(日本一)に輝きました!
異業種からの参入でありながら、販売開始からわずか2年で累計2万本を突破。なぜ、リサイクル業者が作ったスパイスがここまで評価されヒットしているのか。そこには、私たち中小企業が新規事業を考える上での「極意」が詰まっていました。
偶然から生まれた「しげるの八番」その名の由来
このスパイスの生みの親は、同社の藤田 茂(しげる)さん。もともとは土地測量の仕事をされていた「食のプロではない」方です。この商品の名前についてもちょっとしたエピソードがあります。
開発当初、スパイス作りは全くの未経験。とにかく何となく配合を変えながら試作を繰り返す中で、「たまたま『8番』と書いて保管していたサンプル」が、後にプロの料理人も唸らせる黄金比だったのです。計算され尽くした開発というより、現場の試行錯誤の中で「これが一番旨い!」と直感的に選ばれたものが、日本一のスパイスの原点となりました。
究極の「資源循環」が生んだ、他社には真似できない強み
飯盛グリーン開発がすごいのは、単に「流行っているからスパイスを作った」わけではない点です。本業である木材リサイクル事業を軸とした、完璧なストーリー(資源循環)が存在します。
- 【STEP 1】本業の廃材: 伐採した木をチップにし、通常は廃棄される「木くず」を熟成させて高品質な堆肥(たいひ)を作る。
- 【STEP 2】土作りから自社で: その堆肥を使い、自社農場「エナジーファーム」で玉ねぎ、にんにく、唐辛子、バジル、ケールなどを栽培。
- 【STEP 3】商品化: 自社で育てた鮮度抜群の野菜を贅沢に使い、肉の旨みを引き立てるスパイスとして加工。
「自分たちがリサイクルした土で、自分たちが育てた野菜を使い、自分たちで売る」。この一気通貫のストーリーこそが、消費者の共感を呼び、大手食品メーカーには真似できない唯一無二の付加価値となっています。
私たち中小企業がこの成功から学べること
異業種の挑戦がなぜ成功したのか。今回のニュースから、私たちが自社のビジネスに活かせるポイントを3つ整理しました。
① 「自社のゴミ」は「隣の宝」ではないか?
飯盛グリーン開発にとっての「木くず」は、かつては処理が必要なものでした。しかし、それを「野菜を育てる資産」と再定義したことが全ての始まりです。自社で当たり前に捨てているもの、あるいは眠っている資源が、別の業界では喉から手が出るほど欲しい「お宝」に化ける可能性を教えてくれています。また、物理的なゴミではなくて、素材やサービスなどで不要だと思っているものでも、工夫の仕方で大化けする可能性を秘めているということですね。
② 「素人視点」という名の最強の武器
開発した藤田さんは「家庭菜園すらしたことがなかった」と言います。しかし、業界の常識を知らないからこそ、「肉にこれでもかというほど合う」という純粋な味の追求ができました。専門外だからと尻込みするのではなく、ユーザー目線で「本当に欲しいもの」を形にする勇気が、日本一を引き寄せました。
③ 個人の名前を冠した「顔の見える」ブランディング
「しげるの八番」という、作り手の名前を前面に出したネーミング。2026年、AIがどんなに綺麗な文章を書いても、最後に選ばれるのは「誰が、どんな想いで作ったか」という人間味です。SNS等でも「しげるさん」のキャラクターが愛されることで、ファンがつきやすい土壌ができています。
長崎から世界へ、循環の輪を広げる
飯盛グリーン開発の植松社長は、今回の受賞を機に、海外展開や地域への利益還元をさらに加速させたいと語っています。廃棄されるはずだった木材が、土になり、野菜になり、日本一のスパイスになって、最後は地域の雇用や利益として還っていく。この「循環の輪」の美しさこそが、現代のビジネスにおける理想形ではないでしょうか。
「しげるのスパイス」シリーズは、県内の飲食店や道の駅のほか、オンラインショップでも購入可能です。肉好きの皆さんは、ぜひ「8番」と書かれたサンプルの軌跡を、その舌で確かめてみてください!
私もAmazonに売っていたので購入しました。商品が届くのを楽しみにしておきます(^^)
