小規模企業共済とは?
「小規模企業共済」とは、その名の通り、小規模な個人事業主や法人の役員等が退職したり事業を廃止した場合などに解約し、それまでの積み立ての掛金に応じた共済金を受け取ることができる共済制度である。「経営者にも退職金を!」というコンセプトで、中小機構(独立行政法人中小企業基盤整備機構)が運営しています。
制度の特徴
掛金は全額所得控除でで節税!月額1,000円〜
払い込んだ掛金は、確定申告書の小規模企業共済等掛金控除欄に記入すれば全額所得控除となり、掛金は月額1,000円から7万円の範囲(500円単位)で設定できます。
課税される所得金額 | 毎月掛金ごとの加入後節税額 | |||
1万円 | 3万円 | 5万円 | 7万円 | |
200万円 | 20,700円 | 56,900円 | 93,200円 | 129,400円 |
400万円 | 36,500円 | 109,500円 | 182,500円 | 241,300円 |
受け取り時も税制のメリット!
共済金は、廃業や退職時のほか、65歳以上で15年以上掛金を納付した方も受け取り可能。受け取りは「一括」「分割」「一括と分割の併用」に加え、税制のメリットがあります。
世代別のポイント
若手経営者・創業間もない経営者
事業規模が小さいときに加入
小規模企業共済加入後に、常時使用する従業員が増えて加入資格を失っても、共済に加入し続ける事ができます。事業規模が大きくなり加入資格を失う前に、少額の掛金(月額1,000円から)で、加入すれば、その後事業規模が大きくなっても続けられ、掛金の増額もできます。
事業資金に困ったら・・・
事業資金に困ったら、掛金納付月数により掛金の7割〜9割の範囲内で貸付制度が利用でき、速やかに資金が調達できます。また、共済金の請求権は差押えが禁止されています。
退職所得控除を増やせる
共済金受取時の税制メリットである退職所得控除は、掛金の大小に関係なく掛金納付期間が長いほど大きくなります。若い内に少額掛金で加入し、退職所得控除額を増やしましょう。
廃業時の事業の再建等
本共済は、生活の安定や事業の再建を図るために資金をあらかじめ準備しておく共済制度です。やむを得ず廃業する場合などに、最も有利な共済金Aが受け取れます。
40〜50歳前後
老齢給付で共済金を受け取り
50歳までに加入すれば、65歳の年金受給開始時に老齢給付で共済金Bを受け取ることができ、年金の不足分を補完できます。しかも事業を継続しながら受け取れます。また、一度共済金を受け取った後に再度加入することもできます。
60歳前後
加入は年齢制限なし
60歳を過ぎても、現役で仕事をしていれば本共済に加入できます。
加入資格
- 個人事業主及びその共同経営者又は会社等役員(登記があること)
- 常時使用する従業員人数の条件が以下を満たしていること
小売業・卸売業・サービス業等・・・5人以下/製造業・建設業・運輸業・農業等・・・20人以下/宿泊業・娯楽業・・・20人以下
「常時使用する従業員人数は雇入期間の定めのあるパートやアルバイト等の従業員及び個人事業主、共同経営者、専従者並びに会社役員は含まれません。
共済金の受け取り
小規模企業共済に「満期」や「満額」はありません。共済事由が生じた場合に共済金を受け取ることができます。
法人の経営者・役員
請求理由 | |
共済金A | 法人が解散した場合 |
共済金B | 病気やケガにより役員を退任した場合 死亡した場合 65歳以上で180ヶ月以上掛金を払い込んだ場合 |
準共済金 | 法人の解散・病気やけが以外の理由で役員を退任した場合 |
解約手当金 | 任意解約した場合 掛金を12ヶ月以上滞納して解約された場合(機構解約) |
個人事業主
請求理由 | |
共済金A | 廃業した場合 配偶者・子以外に事業の全部を譲渡した場合 死亡した場合 全額金銭出資で個人事業を法人成りした場合 |
共済金B | 65歳以上で180ヶ月以上掛金を支払った場合 |
準共済金 | 配偶者・子に事業の全部を譲渡した場合 法人化して、その法人の役員になった場合 |
解約手当金 | 任意解約した場合 掛金を12ヶ月以上滞納して解約された場合(機構解約) 法人化して、その法人の役員になった場合 |
加入手続き
金融機関か委託事業団体(商工会、商工会議所、中小企業団体中央会、事業協同組合、青色申告会)を通じて簡単に行えます。
まとめ
小規模企業共済はあなた個人も会社も両方とも税負担を軽くすることができます。つまり、掛金支払段階では経営者・役員個人に所得税がかからない上、会社の側でも実質的に掛金の全額、年間最大84万円を会社の損金に算入したのと同じ効果を得ることができます。しかし加入後約20年未満で解約してしまうと掛金の全額が返ってこないなどデメリットもあるため、無理のない範囲でも掛金の設定が必要です。
まだ小規模企業共済に入っておらず、加入条件に合致する法人役員や個人事業主の方は一度税理士や金融機関・委託事業団体に相談して検討してはいかがでしょうか。