佐世保の病院で「ウェブアクセシビリティ」の研修会を行ってきました

1658文字 Blog, Nagasaki, Work

昨日お話しした佐世保出張ですが、無事に大きな山場を越えてきました。向かった先は、佐世保の病院様。こちらの病院では毎年ホームページを「誰にとっても使いやすくする」ためのメンテナンスと、担当者向けの研修会を担当させていただいています。

「ウェブアクセシビリティ」という言葉、最近少しずつ耳にする機会が増えてきたかもしれません。今回は、私たち専門業者が具体的にどのような対策を行っているのか、そして今まさに起きている「10年に一度の大きな変化」について、一般の皆様にも分かりやすくお伝えしたいと思います。

ウェブアクセシビリティ=「情報のバリアフリー」

病院のホームページには一般の方はもちろん、体調が悪い方、ご高齢の方、目が不自由な方、あるいは救急外来を探してパニックになっている方など、さまざまな状況の人が訪れます。そんな時、「ボタンが小さくて押せない」「文字が読みづらい」「どこに情報があるか分からない」という状態であっては、きちんと情報を届けることができません。

私たちが今回行った作業は、いわば「ホームページのバリアフリー化」です。 例えば、画面読み上げソフトを使っている方のために画像に説明文をつけたり、キーボードだけで全ての操作ができるように調整したり。こうした「誰一人取り残さない」ための工夫を、一つひとつ丁寧に施しています。

2026年、日本のウェブ基準が大きく変わります

講習会でも特にお話ししたのが、いま私たちが「大きな転換期」に立っているということです。実は今、日本のウェブのルール(JIS規格)が約10年ぶりに新しくなろうとしています。

これまでも努力義務として進められてきましたが、2024年の法改正(障害者差別解消法)により、公的機関だけでなく民間企業でも「合理的配慮の提供」が義務となりました。つまり、「できればやったほうがいいこと」から「やって当たり前のこと」へと、社会全体のハードルが一段上がったのです。

今回の講習会では、最新の世界基準(WCAG 2.2)の流れを汲んだ、これからのホームページ運営で意識すべきポイントを解説してきました。

これから重要になる「スマホ操作」と「優しさ」の設計

これまでの対策はパソコンでの見え方が中心でしたが、これからは「スマートフォンでの使いやすさ」がより厳しく問われるようになります。一部の例として、以下のようなポイントが重要視されます。

  • 押しやすいボタンの確保: 手が震えていたり、指が太かったりしても、隣のリンクを誤操作しないための十分なサイズと間隔。
  • 入力フォームの簡略化: 何度も同じ情報を入力させない(自動入力を妨げない)など、体調が悪い時でもスムーズに予約や問診ができる設計。
  • 色の区別に頼らない: 「赤色のボタン」といった見た目だけの指示ではなく、テキストを併用して誰にでも確実に伝わるようにする工夫。

病院という場所だからこそ、精神的な余裕がない状態での「使いやすさ」が、そのまま医療サービスの質に直結します。技術的な正解を求めるだけでなく、「患者さんの不利益をどう防ぐか」という視点が何より大切であることを、職員の皆様と共有してきました。

「専門知識」を「現場の力」に変えるお手伝い

私たちの仕事は、単にコードを書いて基準をクリアするだけではありません。今回のように講習会を開き、実際に運営する職員の方々が「なぜこれが必要なのか」を理解し、自ら情報発信できる体制を整えることまでをサポートしています。

「自分たちの病院を、ちゃんとアクセシビリティのレベルを上げたい」。そんな熱意を感じる担当の方もいるおかげで、私自身も非常に身の引き締まる思いでした。

便利な世の中になったからこそ、取り残される人をゼロにする。この取り組みは、巡り巡って「将来、不自由になった自分」のためでもあります。より良いホームページにするとはこういう点も大事にするということを覚えておきたいものですね(^^)

前の記事 次の記事
この記事を書いた人
T.kawano

T.kawano

宮崎生まれ、宮崎&長崎育ち。長崎西高、長崎大学経済学部卒。
在学中からWeb業に従事して約20年。人生の半分以上をWebに注いできました。

デザインからライティング、撮影、プログラミングまでやっており、専門家としてセミナーをしたり、Webでお困りの方の相談にも乗ってきました。

「話す・作るWebディレクター」として活動中。
器用貧乏を逆手に取り、ITの力を活用して少数精鋭の組織で動いています。

三児と一猫の父。趣味は「お笑い」「アニメ(狭く深く)」「バドミントンとそれに必要なトレーニング」
「優しく」「仕事ができ」「面白い」人間を目指して日々精進中。