「インスタ映え」はもう古い?15周年を迎えたインスタグラムの大転換
「インスタ映え」という言葉を最後に使ったのは、いつでしょう?
月間30億人が使う巨大SNS・インスタグラムが15周年を迎えました。でも注目すべきはその歴史ではなく、いま起きている劇的な変化です。
実は日本が黒幕だった
実は、インスタグラムの重要機能の多くが日本発なんです。
あなたが何気なく使っているQRコードでのフォロー機能や地図検索。これらは日本のユーザーの行動から生まれ、世界中に広がりました。Meta日本法人の代表は「日本市場は新機能開発の起点」と明言しています。
世界を動かしているのは、実は私たちの使い方なのです。
「盛る」時代の終焉
もっと衝撃的なのは、Z世代の利用スタイルの変化です。
2017年の「インスタ映え」ブーム。あの頃、誰もが”盛った”写真を全世界に公開していました。でも今は違います。
SHIBUYA109 lab.の2025年8月調査によると、Z世代の89.6%がインスタグラムを利用していますが、投稿の内訳を見ると驚きます。ストーリーズが38.1%に対し、フィード・リールはわずか7.4%です。
プリクラメーカー・フリューによると、プリクラを撮った人の約8割がストーリーズにアップしますが、その多くが「親しい友達限定」などクローズドな共有に変化しています。最新機種では「あえて盛りを抑えた」加工が人気だそうです。
承認欲求の時代から、本当に大切な人とのつながりを求める時代へ。Z世代はすでに次のステージに進んでいます。
1日45億回のシェアが意味すること
今、インスタグラムでは1日に45億回ものリールがDMで共有されています。
投稿するのではなく、シェアする。この行動が物語るのは、SNSが「見せる場所」から「語り合う場所」へと変わったということです。
リールの視聴時間は年率20%で伸び続け、利用時間の50%以上をリールが占めるようになりました。
この流れを受けて、MetaはiPadアプリをリール中心のUIで刷新し、スマホアプリでも数週間以内にホームとDMの配置見直しを含む新デザインのテストを開始する予定です。アプリの設計そのものが、この変化に対応しようとしているんです。
アルゴリズムの大転換:「数」から「質」へ
2025年、インスタグラムのアルゴリズムが根本から変わりました。
「いいね100件」よりも「深いコメントが10件」の方が評価されるようになったんです。「一度再生された動画」より「何度も見返された動画」の方がリーチが伸びます。「フォロワーが多いアカウント」より「DMでつながっている関係性があるアカウント」が優先されます。
実際のデータ分析によると、特に5,000〜50,000フォロワー規模の中規模アカウントで、平均20〜30%もリーチが増加しています。
数を追う時代から、質を重視する時代への明確な転換です。
2025年のアップデートでは、カルーセル投稿の評価が大幅に向上しました。フォロワー数に関係なくリールが公平に評価される仕組みが強化され、フォロワー外への新規リーチでは「シェア」の影響が特に大きくなっています。
AIが変える広告の未来
そしてMeta日本代表は「今後の成長戦略の柱はAI」と断言しています。
その成果は数字に表れています。Metaプラットフォームへの広告投資は、1ドルあたり3.71ドルの還元があります。AI自動配信「Advantage+」を活用したキャンペーンではCPAが9%改善しました。
さらに驚くべきは、2025年中に人工知能を活用した広告の完全自動作成サービスの提供開始を目指していることです。広告主が商品画像と予算額を提示するだけで、AIが全てを自動処理する仕組みが実現しようとしています。
Metaは2025年の資本支出として640〜720億ドル規模の投資を予定し、AI関連広告ツールを導入した広告主が200万人を突破しました。これは実験段階を超え、広告ビジネスの主流になっている証拠です。
10年越しの布石
Metaが本格的にAIに取り組み始めたのは2013年です。AI専門研究所「FAIR」を設立し、10年以上も先駆的なリサーチとAIインフラ投資を続けてきました。
今日の圧倒的な広告パフォーマンスは、この長期的な投資の結果なんです。
Z世代は離れていない
興味深いデータがあります。
Z世代の51.0%が「SNS疲れを感じる」と答えています。でも「SNSをやめたい」と思うのは28.4%に留まります。
疲れは感じているけれど、やめられない。SNSはなくてはならないものになっているんです。
ただし、使い方が変わりました。「見る専」化が進み、炎上やトラブルを避けるため自己表現としての投稿は控えめに。ストーリーズやDM中心といったクローズドでリスクの少ない関わり方が増加しています。
インスタグラムの向かう先
複数の調査が同じ方向を指しています。インスタグラムの今後の戦略は明確です。
「投稿を見る場所」から「動画を見て友達と共有する場所」へ。アプリの基本設計そのものを変えていきます。
AIで3つの領域を強化します。あなたが見たい動画をAIが予測して表示し、企業の広告をAIが最適化し、クリエイター向けにワンタップで写真の質感を変えたり、動画を多言語翻訳するAIツールを提供します。
そして、日本市場を「次の機能」の実験場に位置付けています。日本のユーザー行動から新機能を開発し続ける戦略です。
まとめ
「全世界に見せるために投稿する」時代は終わりました。
これから始まるのは、「AIが最適化した動画を、本当に大切な人とDMで共有し合う」時代です。
公開からプライベートへ、静止画から動画へ、人力からAIへ。
私たちは、SNSの第二章の始まりを目撃しています。これからどうなっていくのか非常に興味深いですね(^^)