スイスから東京へ。メニューも価格もないコーヒーショップ「KURO MAME」
東京・神谷町にオープンしたスイス発のコーヒーショップ〈KURO MAME Tokyo〉が、世界的な評価を受けるランキング「The World’s 100 Best Coffee Shops 2026」にノミネートされたというニュースを見かけました。世界14,000以上のコーヒーショップから選ばれるこのランキングに、オープンからわずか半年で名前が挙がるというのは、かなりインパクトがあります。

出典:MAME Japan 合同会社 プレスリリース(PR TIMESより引用)
メニューがない、価格も書いていない
このお店の特徴として印象的なのが、「メニューが存在しない」という点です。あらかじめ決められたコーヒーを選ぶのではなく、バリスタとの対話を通して、その人の好みやその日の気分に合わせて一杯を導き出すスタイル。結果として提供されるコーヒーは、1杯4,000円〜という価格帯になります。(テイクアウトにはメニューと価格があります。)
数字だけを見ると驚く方も多いと思いますが、ここで売られているのは単なるコーヒーではなく、「対話を含めた体験そのもの」ということですね。値段が先に立つのではなく、体験の結果として価格が決まる、そんな構造です。
スイス発、でもオーナーバリスタは日本人という面白さ
もう一つ、個人的に面白いと感じたのがこの点です。〈KURO MAME Tokyo〉は「スイス発」と紹介されることが多いのですが、オーナーバリスタは日本人。いわゆる“海外ブランドが日本に上陸した”という単純な構図ではありません。
海外で評価され、海外の文脈で磨かれた思想や技術を、日本人が主体となって東京に持ち込んでいる。そのためか、「海外っぽさ」も「日本っぽさ」も前面に出すぎていない、不思議な中間地点に立っている印象を受けます。
スイスから来たけれど、日本人がつくっている。にもかかわらず、その点があまり強調されていない。この“ねじれ”のような立ち位置も、このお店の空気感を独特なものにしている理由なのかもしれません。
「最高の一杯」は人それぞれ、という考え方
〈KURO MAME Tokyo〉のコンセプトは、「The best coffee is the coffee you like(最高のコーヒーは、あなたが好きなコーヒー)」。万人にとっての正解を用意するのではなく、その人にとっての正解を一緒に探すという姿勢です。
この考え方はとても共感できる部分が多く、コーヒーに限らず、サービスや仕事全般にも通じるものがあります。品質や技術が高いことは前提として、その上で「あなたに向き合います」という姿勢をどう形にするか。その一つの答えが、この店の在り方なのだと思います。
世界で評価された理由は「体験設計」
今回のノミネート理由を見ていて感じたのは、評価されているのは味そのもの以上に、「体験の設計」だということです。世界大会で評価されたバリスタの技術と、丁寧な対話。その時間ごと含めて、一杯の価値として成立させている。
コーヒーという日常的なものでも、ここまで体験を磨き上げると世界から注目される存在になる。これはとても示唆的な事例だと感じました。
東京という場所で、どう受け取られるのか
一方で、個人的にとても興味があるのは、「このコンセプトが東京という場所で、今後どのように評価されていくのか」という点です。1杯4,000円〜、メニューなし、対話前提。考え方としてはとても面白く、共感する部分も多い。ただ、それを“選択肢”としてどう受け止められるのかは、また別の話でもあります。
話題性や希少性だけで終わるのか、それとも文化として根付いていくのか。東京という多様でスピードの速い街の中で、このスタイルがどんな評価を積み重ねていくのかは、これからが本番なのだと思います。
今後の経過も含めて楽しみにしたい
世界で評価されたという事実だけで終わらせるのではなく、その後どう育っていくのか。どんな人たちに、どんな理由で支持されていくのか。そういった時間の積み重ねこそが、このお店の本当の価値を形づくっていくのではないでしょうか。
コンセプトに共感しつつも、現実の街の中でどう受け止められるのか。その行方を楽しみに追っていきたい。そんなふうに思わせてくれるニュースでした(^^)
※本記事の図表および情報は、下記のプレスリリースを参考に作成・引用しています。
出典:MAME Japan 合同会社 プレスリリース(PR TIMES)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000176024.html
