天皇陛下とトランプ大統領の会見から学ぶ、大谷翔平選手の話題も出したコミュニケーションの上手さ

先日、天皇陛下がトランプ米大統領と皇居で会見されたニュースを見て、改めて「相手を思いやる気配り」の大切さを感じました。

特に印象的だったのは、天皇陛下が大谷翔平選手の話題を自ら切り出されたという場面です。これ、ビジネスシーンでも本当に参考になる素晴らしいコミュニケーションだと思うんです。

6年ぶりの再会、そして特別な配慮

今回、トランプ大統領が天皇陛下と会見されたのは6年ぶり2度目のことでした。前回の2019年5月は「令和」最初の国賓として、宮中晩餐会なども含めた盛大なおもてなしでしたが、今回は国賓ではなく、首脳会談のための来日でした。

実は、国賓以外で天皇陛下が現職の米国大統領と会見されるのは、かなり異例のことなんです。国賓というのは年間1〜2組に限定される最高のもてなしで、皇居での歓迎行事や宮中晩餐会などが催されます。今回はそうした儀式的な行事はなく、御所での30分ほどの会見でしたが、それでも天皇陛下が時間を割いて会見されたことは、日米関係の重要性を示す特別な配慮だったと言えます。

ちなみにトランプ大統領は2017年11月にも来日していますが、その時は「公式実務訪問賓客」という位置づけで、当時の上皇ご夫妻と会見されています。つまり、トランプ氏と皇室との交流は今回で3度目ということになります。

天皇陛下の役割と外交の意義

天皇陛下は日本国憲法で「日本国の象徴」と定められていて、政治的な権力は持っていません。でも、だからこそ、政治的な思惑を超えた「国と国との友好関係の象徴」として、とても重要な役割を果たされているんです。

今回の会見でも、陛下は「大統領の訪日が日米の友好関係をさらに強化することになると期待しています」と述べられました。また、トランプ氏が世界各地の紛争解決について語ると、陛下は「世界の各地で紛争が続いていることに心を痛めている。これらの地域で平和が訪れることを願っています」と応じられたそうです。

政治的な駆け引きではなく、純粋に平和と友好を願う立場から語られる言葉だからこそ、重みがあるんですね。

大谷翔平選手という「共通言語」のすごさ

そして、今回の会見で最も印象的だったのが、天皇陛下が大谷翔平選手の話題を自ら切り出されたことです。

実は、トランプ大統領は以前から大谷選手のことを何度も話題にしていました。今年4月にドジャースがホワイトハウスを訪問した際には、約15分のスピーチのうち約2分を大谷選手の功績に割いて、「最も素晴らしい投手の1人であり、最も素晴らしい打者の1人」「ムービースターみたいだ」と絶賛していました。さらに10月にも別のイベントで大谷選手を話題にして「彼はすごい選手」と称賛するなど、トランプ氏が大谷選手を高く評価していることは広く知られていたんです。

天皇陛下は、こうしたトランプ氏の発言をしっかり把握された上で、「大統領が大谷選手を評価するような発言をされていることを大変嬉しく思いました」と伝えられました。そして、日本人選手が米国のチームや社会に「温かく受け入れられている」ことへの感謝を述べられたんです。

これに対してトランプ氏も、「大谷選手はたしかにすごい。この間の試合ではピッチャー(山本由伸選手)も非常に良かった」と応じ、会見は和やかな雰囲気で進んだそうです。

天皇陛下の「気配り」の極意

天皇陛下は相手が何に関心を持っているかを事前にしっかり把握されていました。トランプ氏が大谷選手を何度も称賛していたという情報を知った上で、それを話題にされたんです。

次に、その話題を「共通の喜び」として共有されました。単に「大谷選手すごいですよね」ではなく、「あなたが評価してくれて嬉しい」「温かく受け入れてくれてありがとう」という形で伝えられたことで、お互いが気持ちよく話せる雰囲気が生まれたわけです。

そして、政治的に難しい話題(紛争の話など)もある中で、スポーツという誰もが楽しめる話題を挟むことで、会見全体が和やかなものになりました。

これって、ビジネスの商談や会議でも全く同じですよね。

相手が何に興味があるのか、何を大切にしているのかを事前にリサーチする。そして、共通の話題や相手が喜ぶ話題を自然に会話に盛り込む。緊張する場面でも、お互いがリラックスできる話題を用意しておく。

こうした気配りが、良好な関係を築く第一歩になるんだと思います。

「おもてなし」の心

日本には「おもてなし」という素晴らしい文化があります。相手のことを思いやり、相手が喜ぶことを考え、さりげなく実行する。押し付けがましくなく、自然に。

天皇陛下の大谷選手の話題の出し方は、まさにそういう「おもてなし」の心そのものだったと思います。

トランプ大統領も会見後、記者団に向かって天皇陛下のことを「グレート・マン(立派な方)」と何度も称え、「次は6年もあけずにお会いできることを望んでいます」と語ったそうです。最初は少し緊張していたかもしれない会見が、最後には「また会いたい」と思えるような温かい雰囲気で終わったんですね。

私たちも実践できること

天皇陛下のような立場の方の外交と、私たちの日常のビジネスシーンでは、もちろん規模も内容も全く違います。

でも、「相手のことを思いやる」「相手が喜ぶことを考える」「共通の話題で距離を縮める」という本質的なコミュニケーションの在り方は、全く同じだと思うんです。

次に大切なクライアントと会う時、あるいは初めてのお客様と商談する時、ちょっと考えてみてください。

相手は何に興味があるんだろう。何を大切にしているんだろう。どんな話題なら、お互いに気持ちよく話せるだろう。

SNSやニュースで、相手の会社や業界について少し調べてみる。共通の知り合いがいれば、事前に話を聞いてみる。相手が喜びそうな話題を、さりげなく会話に織り込む。

こうした小さな気配りの積み重ねが、信頼関係を築き、良い仕事につながっていくんだと思います。

今回のニュースで私の大好きな大谷選手の話題が出た嬉しさはもちろん、このような学びがあることも気づかせてくれた体験となりました(^^)

前の記事 次の記事
この記事を書いた人
T.kawano

T.kawano

宮崎生まれ、宮崎&長崎育ち。長崎西高、長崎大学経済学部卒。
在学中からWeb業に従事して約20年。人生の半分以上をWebに注いできました。

デザインからライティング、撮影、プログラミングまでやっており、専門家としてセミナーをしたり、Webでお困りの方の相談にも乗ってきました。

「話す・作るWebディレクター」として活動中。
器用貧乏を逆手に取り、ITの力を活用して少数精鋭の組織で動いています。

三児と一猫の父。趣味は「お笑い」「アニメ(狭く深く)」「バドミントンとそれに必要なトレーニング」
「優しく」「仕事ができ」「面白い」人間を目指して日々精進中。