岐阜市が校務用にMacBook Air 1,849台導入。そのメリットと懸念点とは
岐阜市が公立学校の校務用パソコンとして、MacBook Airを1,849台導入するという発表です。公立学校といえば、これまで長年Windowsが定番だっただけに、この決断は非常に画期的だと思います。
MacBook Airユーザーとしては嬉しい反面、いくつか気になる点もあるので、今回はこの取り組みについて考えてみたいと思います。
公立学校でのMac採用は極めて異例
記事にもありますが、「公立学校でMacを採用するケースは極めて珍しい」とのこと。確かに、学校のような公的機関がWindowsではなくMacを選ぶというのは、おそらく前例がないのではないでしょうか。
これまで教育現場では、コストや互換性、慣れ親しんだ操作性などの理由から、Windows一択という状況が続いていました。そんな中でのMac採用は、相当な検討と決断が必要だったと思います。
岐阜市教育委員会がこの決断に至った背景には、「授業のOS改革」という大きなビジョンがあります。従来の画一的な一斉授業から、子供が主体的に学べる環境への転換を目指している中で、ツールもそれに合わせて刷新しようという考えのようです。
コスト面は本当に大丈夫?
一番気になるのは、やはりコスト面です。
一般的に、MacはWindowsよりも高価というイメージがありますが、記事によると「今回の調達ではWindows端末と比較してもコスト競争力があり、十分検討に値する選択だった」とのこと。これは少し意外でした。
ただし、公立学校ということは税金が財源になるわけで、「なぜわざわざ高いMacを選んだのか」という批判は必ず出てくると思います。コスト面での透明性をしっかりと示して、市民に理解してもらう努力が必要でしょうね。
MacBook Airの使い勝手の良さ
個人的に、数年前まではWindowsを使っていましたが、MacBook Airに移行してからはその使い勝手の良さを実感しています。
特に、起動の速さ、バッテリーの持ち、軽量で持ち運びやすいという点は、確かに教員の方々にとってメリットが大きいと思います。校内外を子供と移動する場面が多い教員にとって、「どこでもストレスなく使える端末」というのは重要な要素です。
ただし、これはあくまでも私の使い方でのメリット。すべての教員の方が同じように感じるかどうかは分からないというのも正直なところです。
iPadとの連携、AirDropの威力
岐阜市は既にiPadを導入していたということで、MacBook Airとの親和性の高さが決め手の一つになったようです。
特にAirDropの機能は、Appleにしかない技術で、その使い勝手の良さは本当に素晴らしいと思います。記事でも、先行導入した先生が「iPadで撮った写真をOneDriveにアップロードして、それをダウンロードして使うという手間」から解放されて、「AirDropでサッと画像を送れて、そのまま資料づくりに使える」と効果を実感されています。
この連携の良さは、日常的にiPadとMacを使う環境では、作業効率を大幅に向上させる可能性があります。
セキュリティ面は大丈夫?
一つ気になるのは、セキュリティ面です。
AirDropやBluetooth接続など、こういった公的機関では通常、出先などで勝手に通信できないよう制限をかけることが多いと思います。使い勝手の良さを追求する一方で、セキュリティ面はしっかりと検討されているのでしょうか。
記事では「Jamf ProのMDM(モバイルデバイス管理)で一括管理され、安心・安全に活用できるようセキュリティ対策も万全」とありますが、具体的にどの程度の制限をかけているのか、もう少し詳しく知りたいところです。
破損対策と耐久性の問題
iPadもMacBook Airも、子どもが使う環境では破損のリスクがあります。
特に学校という環境では、落下や衝撃は避けられません。WindowsのノートPCでも同じ課題はありますが、Macの場合は修理費用が高くなる傾向があるので、ガードケースやフィルムなどの対策費用も含めて考える必要がありそうです。
公立学校なので財源は市民の税金。破損による修理費や買い替え費用が嵩んだ場合、やはり批判の声は上がるかもしれません。
慣れ親しんだWindowsからの移行
長年Windowsを使ってきた教員の方々にとって、Macへの移行は大きな変化です。
記事では研修体制の充実に力を入れているとのことですが、やはり最初は戸惑いもあるでしょう。特に年配の先生方にとっては、新しい操作を覚えるのは負担に感じるかもしれません。
ただし、岐阜市教育長の「良いものは良い」という発言にもあるように、最終的には使ってみれば良さが分かるということもあると思います。
導入後の効果検証が重要
個人的には、MacBook Airは本当におすすめできるデバイスだと思います。
しかし、使い方や人、環境によってベターなPCは変わってくるのも事実です。だからこそ、今回の導入が実際にどのような効果をもたらすのか、導入後の経過をしっかりと検証することが重要だと思います。
教員の作業効率は向上したか、子どもたちの学習にどのような変化があったか、コスト面での妥当性は保たれているかなど、定期的に評価していく必要があるでしょう。
Chromebookではどうか
生徒用のPCとしてはChromebookのシェア率が高くなってきている昨今、先生のPCもChromebookを利用するという選択肢もあります。iPadのタブレットをAndroidタブレットにし、
ただし、現在はiPadを使用しているのであれば大がかりな移行になってしまいますのでオススメはできないですね。ですが、コスト面はAndroidタブレットとChromebookの組み合わせが一番安くできるはずです。あとWindows機器よりも動作も軽いものが多く、データ転送もQuick Shareという機能があるのでこれらを組み合わせる選択肢も良いかもしれません。
他の自治体への影響
岐阜市の取り組みが成功すれば、他の自治体でも同様の動きが出てくる可能性があります。
一方で、もし問題が発生すれば「やはりWindowsが安全」という結論になってしまうかもしれません。そういう意味では、岐阜市の取り組みは、日本の教育現場におけるIT環境の今後を占う重要な実験とも言えそうです。
私としてはこういう「試み」は応援したいです!
まとめ
岐阜市のMacBook Air導入は、確かに画期的な取り組みだと思います。
iPadとの連携、持ち運びやすさ、バッテリーの持ちなど、教育現場にとってメリットが多いのも事実でしょう。ただし、コスト面、セキュリティ面、移行に伴う負担など、課題もいくつかあります。
最も重要なのは、この取り組みが本当に「子どもたちの学び」にプラスになるかどうか。技術的な優位性だけでなく、教育効果という観点での検証が求められると思います。
MacBook Airユーザーとしては、この取り組みがうまくいって、より多くの場面でMacの良さが認められることを期待しています。同時に、導入後の状況をしっかりと見守っていきたいですね (^^)