ボンタンアメで尿意が消える?~映画「国宝」から始まった都市伝説の真相~

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『ボンタンアメで尿意が消える」

こんな噂を聞きつけました。

先日観た鬼滅の刃の映画が2時間半ほどあり、頻尿の私にとってはこれが一番の驚異でした。その後日にボンタンアメの噂を聞いたんです。

皆さんは、SNSで「ボンタンアメを食べると尿意が消える」という話題が盛り上がっているのをご存知ですか?

きっかけは、現在大ヒット中の映画「国宝」。上映時間が2時間55分もある大長編で、「途中でトイレに行きたくならないか心配」という声から、この都市伝説のような話が注目されているんです。

頻尿に悩む身としては、「非常に興味深い話題」ということで、この噂の真相とボンタンアメの意外な歴史について調べてみました。

SNSで話題の「ボンタンアメ神話」

話題の発端は、今年2月頃のSNS投稿から。「ボンタンアメを食べたら4時間トイレに行かなくても平気だった」「映画を見る前に食べたら、全然尿意を感じなかった」といった体験談が相次いで投稿され、万単位のリポストが確認される投稿もあったそうです。

特に映画「国宝」の影響は大きく、「2時間55分の大長編を尿意に邊されずに見たい」という切実な願いから、ボンタンアメを持参する人が続出。コンビニやスーパーでボンタンアメが売り切れになったり、「いつ入荷するか分からない」と店員さんが困惑する事態にまで発展したようです。

医師が解説する「尿意が消える」メカニズム

「まさか、お菓子で本当に尿意が抑えられるなんて…」と思いますが、実は医師からも興味深い見解が出ています。

泌尿器科の専門医によると、「糖質や炭水化物は水分子と結合して、身体の中にグリコーゲンという形態で蓄えられます。これにより水分を身体に蓄えやすくなるので、摂取した水分が尿になる量を減らす効果があるのです」とのこと。

ボンタンアメの原材料を見てみると、水飴、砂糖、もち米など、まさに糖質と炭水化物がメイン。特にもち米の糖質(グリコーゲン)が水分と結びつく性質があるため、一時的に体内の水分が保持され、尿意を感じにくくなる可能性があるというわけです。

ただし、医師も「ボンタンアメを少量食べたというだけで『尿意が消える』と断言することはできませんが…」と慎重な姿勢。完全に否定はできないものの、医学的な証拠は不明確というのが現状です。

メーカーは困惑「何も言えない状況」

一方、製造元のセイカ食品は、この騒動に困惑しています。

「弊社では科学的知見を持ち合わせておりません。弊社と致しましても、お客様に不明確なご返答はできませんこと、何卒ご理解賜りたく存じます」と、科学的な裏付けができないことを説明。

担当者も「(一連の出来事に)びっくりしています。私たち自身が実験もしていないし、データもないので、肯定も否定もできません。何も言えないという状況です」と話しており、突然の話題に戸惑っている様子が伝わってきます。

ボンタンアメの意外すぎる誕生秘話

この騒動をきっかけに改めて注目されているボンタンアメですが、実は誕生の背景には驚くような物語があります。

倒産寸前から生まれた奇跡のお菓子

ボンタンアメが誕生したのは1925年(大正14年)。でも、その背景は決して順風満帆ではありませんでした。

「当時、経営は決して好調ではありませんでした。そこに追い打ちをかけるように、船で県外へ輸送する際にブリキ缶に穴があき、水飴が流出してしまう事件が発生してしまったこともあります。流出してしまった水飴の損害賠償金を船の会社に請求したところ、逆に甲板の清掃代を請求されてしまったり…。大量の商品がダメになってしまったうえに、おまけに清掃代まで支払わなければならない。正直、いつ倒産してもおかしくないような状況でした」

そんな絶体絶命の状況で、初代社長が工場の社員が朝鮮飴(もち米、水飴、砂糖を練って作る熊本の伝統銘菓)をハサミで小さく切って遊んでいるのを見て、ひらめいたのがボンタンアメのアイデアでした。

「空からボンタンアメを降らせる」伝説の宣伝計画

誕生したボンタンアメを全国に広めるため、初代社長・玉川壮次郎氏は破天荒な宣伝を展開しました。

薩摩隼人をイメージした陣羽織に「ボンタンアメ」と書かれた旗指物で扮装し、チンドン屋を従えて日本全国を練り歩くといった宣伝を行い有名になったそうですが、最も驚くのは「軍用機からボンタンアメを空中散布する」という計画でした。

計画は未遂に終わったが、壮次郎氏は「新聞で取り上げられてあれだけ世間が騒いでくれたんだから、(軍用機が)飛んだも同じだ」と大満足そうだったそう。今思えば、実現していたら大変なことになっていたでしょうね。

戦時中は海軍御用達、慰問袋の定番に

戦時中は、暑さで溶けないため赤道でも大丈夫と、大日本帝国海軍から艦船用として採用されたり、大陸での戦闘が激しくなった際には、兵隊への慰問袋の定番にもなったというから驚きです。

オブラートに包まれた独特の形状が、過酷な環境でも品質を保てる利点になったんですね。

100周年を前に発覚した新事実

今年2025年、ボンタンアメは誕生100周年を迎えます。ところが、100周年を前にして、驚くべき事実が発覚しました。

「1945年の鹿児島大空襲などの影響で、弊社の多くの資料が焼失してしまいました。100周年を迎えるにあたり、ボンタンアメの発売について徹底的に調査を行い、確証を得られる記録を探した結果、発売年を1年ずらすことが適正と判断いたしました。その後、販売開始年を”1924年”から”1925年”にすることを、公式サイトで発表しました」

約100年の歴史の中で、このタイミングで新事実が発覚するなんて、長い歴史を持つ商品ならではのエピソードですね。

オブラートに包まれている理由

ボンタンアメといえば、オブラートに包まれているのが特徴ですが、これにもちゃんとした理由があります。

「発売当時は、キャラメルやキャンディを包むような上質な剝離紙がほとんどない時代。もちもちとした弾力が特徴のボンタンアメは、どうしても紙にくっついてしまうため、オブラートを採用することになりました」

現在では技術の発展により、オブラートを製造している会社はほんの数えるほどになったそうですが、「オブラートに入ってこそボンタンアメ」として、今でもこの伝統的な包装を守り続けています。

個人的な検証結果は…

さて、気になる「尿意が消える」効果ですが、私も実際に試してみました。

映画館に行く前にボンタンアメを3粒ほど食べて、2時間の映画を鑑賞。確かに、いつもより尿意を感じにくかったような…?

でも、これが本当にボンタンアメの効果なのか、それとも「効果があるはず」という思い込み(プラシーボ効果)なのかは正直分からないところです。

医師も指摘していますが、興奮状態では交感神経が優位に働き、自然と尿意が下がる傾向があるので、映画やライブに集中していることも影響している可能性があります。

まとめ:100年の歴史に新たな1ページ

「ボンタンアメで尿意が消える」という話題の真偽のほどは定かではありませんが、この騒動をきっかけに、改めてボンタンアメの奥深い歴史や魅力を知ることができました。

倒産寸前から生まれた奇跡のお菓子が、戦時中は海軍に重宝され、現代ではSNSで都市伝説のように語られる。100年という長い歴史の中で、時代ごとに違った話題を提供してくれるボンタンアメって、本当に不思議な存在ですね。

医学的な効果については専門家でも意見が分かれるところですが、少なくとも「安心材料」として持っているだけでも、気持ちの余裕につながるかもしれません。

次回、長時間の映画を見るときは、私もボンタンアメを持参してみようと思います。効果のほどは…また今度報告しますね (^^)

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この記事を書いた人
T.kawano

T.kawano

宮崎生まれ、宮崎&長崎育ち。長崎西高、長大経済学部卒。
在学中からWeb業に従事して約20年。人生の半分以上をWebに注いできました。

デザインからライティング、撮影、プログラミングまでやっており、専門家としてセミナーをしたり、Webでお困りの方の相談にも乗ってきました。

「話す・動く・作るWebディレクター」として活動中。
器用貧乏を逆手に取り、ITの力を活用して少数精鋭の組織で動いています。

三児と一猫の父。趣味は「お笑い」「アニメ(狭く深く)」「バドミントンとそれに必要なトレーニング」
「優しく」「仕事ができ」「面白い」人間を目指して日々精進中。