札幌市議の「ナビダイヤルクレーム対策」が話題~面白いアイデア~
札幌市議会議員の成田祐樹氏が提案した、ヒグマ駆除への抗議電話に対する「ナビダイヤル10秒300円」での対応策が面白いなと思いました。一見突飛に思えるこのアイデアですが、理にかなっていて感心してしまいました。
問題の背景
まず、この提案の背景を整理してみましょう。
7月12日に北海道福島町で新聞配達員がヒグマに襲われて死亡するという痛ましい事件が発生。町は住民の安全を守るためヒグマを駆除しましたが、その後、動物愛護団体や個人から「熊を殺すな」といった抗議電話が役場に殺到したそうです。
北海道知事によると、「2時間も何時間もご連絡いただくということで、これはもう仕事にならない」という状況。住民の命を守るための対応に追われている現場が、長時間の抗議電話によってさらに疲弊するという状況が生まれています。
成田市議の「妙案」
そこで成田市議が提案したのが以下のアイデア
- 抗議電話を広域のコールセンターに転送
- ナビダイヤル(10秒300円)で受け付け
- 集まった費用をヒグマ対策に充当
投稿では会話形式で以下のような流れも紹介されています:
「ヒグマを駆除するなんて!!」 「では、担当課にお繋ぎしますね~」 「ナビダイヤルにお繋ぎします。この電話は10秒あたり300円…」
試算によると、1人が2時間電話した場合の通話料は21万6000円。とても高額です。
このアイデアの面白いところ
コストの可視化
最も面白いのは、「見えないコスト」を可視化している点です。
普通、抗議電話は発信者にとって「無料」ですが、受け取る側には職員の時間、精神的負担、本来業務の停滞など、大きなコストが発生しています。ナビダイヤルにすることで、そのコストを発信者にも負担してもらうという発想です。
これにより、「本当に必要な連絡」と「感情的な抗議」が自然に分離される効果も期待できそうです。
資源の循環
集まった費用をヒグマ対策に回すという部分も巧妙ですね。
抗議の原因となった問題の解決に、抗議そのものを資源として活用するという逆転の発想。単なる「罰金」ではなく、建設的な解決策への転換と言えます。
心理的な抑制効果
料金が発生することで、発信者は「本当にこの電話は必要か」を一度立ち止まって考えることになります。感情的な衝動だけでなく、冷静な判断を促す仕組みとして機能しそうです。
反応も面白い
SNSでの反応も興味深いものがありました。
「これいいな 受託して時間とかいろいろ稼ぎたい」「電話対応した職員にその金額を『手当て』としてそのまま支給しましょう!」など、肯定的に受け止める声が多数。
一方で「クマを駆除するなというのは動物愛護の観点からみて一国民としての意見としては間違ったものではないのでは?」という指摘もあり、色々な意見があるのも仕方がないことですよね。
現実的な課題
もちろん、実際に導入するとなると課題もあります。
市民の意見表明権との兼ね合いをどうするか、技術的なシステム構築にかかるコスト、法的な問題はないかなど、検討すべき点は多そうです。
でも、少なくとも現在の「理不尽なクレーム電話で現場が疲弊する」という状況を改善するための一つのアイデアとしては、十分に価値があると思います。
他の場面でも応用できそう
このアイデア、行政だけでなく色々な場面で応用できそうですね。
企業のカスタマーサポートで、明らかに理不尽なクレームや同じ質問の繰り返しに対して、有料チャンネルを設けるとか。もちろん、正当な苦情や質問は無料で受け付けるという前提で。
根本的な問題への気づき
この提案が面白いのは、単なる「対症療法」ではなく、「コミュニケーションにはコストがかかる」という根本的な事実を可視化していることです。
デジタル化が進んで、誰でも簡単に意見を発信できるようになった現代だからこそ、こういう発想が必要なのかもしれませんね。
働く人への配慮
最終的に、このアイデアが素晴らしいと思うのは、現場で働く人への配慮があることです。
理不尽なクレーム電話で疲弊している職員の方々の負担を軽減し、本来の業務に集中できる環境を作ろうという思いが伝わってきます。
まとめ
実際に導入するかどうかは別として、こういう発想ができること自体が素晴らしいと思います。既存の枠組みにとらわれず、新しい視点で問題を解決しようとする姿勢は、どんな分野でも参考になりそうです。
私たちも、日頃の業務で「当たり前」と思っていることを、たまには違う角度から見直してみると、面白いアイデアが生まれるかもしれませんね (^^)