PS5レンタルが絶好調!“昔のビデオレンタル屋さん的発想”が今、再び注目される理由
「ゲーム機を“借りる”時代が来た」
そんな言葉が現実になったのが、2024年2月末からゲオが始めたPlayStation5(PS5)レンタルサービスです。
PS5といえば、家庭用ゲーム機の中でも最高クラスの性能と人気を誇るモデル。ですが、その価格は標準モデルで約8万円。
「遊んでみたいけど買うには高すぎる…」と感じている人も多かったはずです。
そんな中でスタートしたのが、「7泊8日で980円」という破格のレンタルサービス。
開始からわずか1カ月で、全国のゲオ店舗のうち約半数が稼働率ほぼ100%という大人気ぶりを記録しました。
なぜ今、「レンタル」が注目されているのか?
ゲオのレンタル事業の歴史は、1986年に遡ります。
当時はまだ映画を家で観るにはビデオデッキが必要で、映画1本のソフトは1万円以上することも珍しくありませんでした。
その高価な映画を、数百円で家に持ち帰って観られる――
この“高価なものを安く楽しむ”という発想が、レンタルビデオの黄金時代を作ったのです。
そして今、同じような構図がPS5に当てはまります。
- 購入価格が高すぎて手が出しづらい
- でも、体験してみたい・遊んでみたい
- それが980円で1週間試せるなら…?
この“借りて試す”という考え方は、サブスク全盛の現代でも新鮮な驚きを与えてくれます。
実験的で戦略的な取り組み
ゲオの商品担当チームによると、今回のサービスはかなり戦略的に準備されたものだったそうです。
- PS5の供給が安定してきた
- 一方で価格改定により心理的ハードルが上がっていた
- ゲームに強いゲオなら、メンテナンスやソフトの売上も含めてシナジーがある
実際に、PS5をレンタルしたお客さんがその場でソフトを一緒に購入するケースも多いとのこと。
つまり、レンタル単体では利益が薄くても、「来店のきっかけ」や「売り場の活性化」としては非常に有効。
一種のマーケティング施策として、非常に合理的な発想だったわけです。
借りられるのは“ゲーム機”だけじゃない
ゲオは以前から「ゲオあれこれレンタル」というオンラインレンタルも運営しており、実はそこでもPS5の取り扱いをスタート。
ただし、送料が高いため、現時点ではリアル店舗で借りる方が圧倒的に人気。
在庫確認ページも、ほぼ“×”マークが並ぶほどの盛況ぶりです。
レンタル対象の店舗は全国約400店舗で、主に駐車場のあるロードサイド型の大型店舗が選ばれています。
「大きくて重たいPS5を持ち運ぶにはクルマの方が便利」という発想から、実用性もしっかり計算されているのが分かります。
今だからこそ、「リアル」の価値が見直されている
デジタル全盛の時代、つい「リアル店舗ってもう古いよね」と思ってしまいがちです。
でも、今回のように「その場ですぐ借りられる」「触れる」「相談できる」というリアルの強みは、やっぱり大きな価値です。
特に高額な商品や初体験のアイテムは、「とりあえず試したい」「家族で体験したい」というニーズも高い。
リアル店舗を拠点としつつ、現代のニーズに応える「新しいレンタル」の形をつくったゲオの今回の取り組みは、
“古くて新しい”リアルビジネスの希望の光かもしれません。
私たちの仕事にも通じる考え方
この「高いものをまず試せる形で提供する」という仕組み、私たちの業界にも応用できそうです。
たとえば、
- 高額なWebサービスの初期導入を「体験版」で試してもらう
- 「お試し相談」「1週間だけの導入」といった柔軟な提案
- システム導入の前に、動画やVRなどで“体験イメージ”を共有する
こうした“レンタル的発想”が、購買のハードルを下げ、接点を増やすことに繋がるのではないでしょうか。
「借りる」ということに、可能性がある
サブスクが主流の現代において、“借りる”という選択肢が今また力を持ってきたのは非常に興味深い流れです。
しかも、ただ貸すだけでなく「使ってもらって、他の商品にも触れてもらう」というエコシステムとしての設計。
こうしたビジネスモデルは、私たちにも大きなヒントをくれます。
「所有」ではなく「体験」
「買う」より「試す」
そんな価値観が今後さらに広がっていく中で、
どんなサービスにも“レンタル的要素”を取り入れることで、もっと可能性は広がるかもしれません。