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飲食店はキャッシュレス導入するべきか

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最近、日本でもキャッシュレス決済が当たり前になってきました。しかし、それをあえて導入しないお店もあります。兵庫県加西市の人気ラーメン店「桐麺」もその一つです。
店主の桐谷尚幸さんは「お店にとって、良いことが一つもない」と言い切ります。桐麺は週3日営業、1日50組限定というスタイルで、全国からラーメン好きが訪れる有名店です。最近では訪日外国人の来店も増えていますが、あくまで現金払いのみを貫いています。
その理由はシンプルで、「キャッシュレス決済を導入するメリットがない」と桐谷さんは考えているからです。確かに、レジ締め作業の効率化や釣り銭のトラブル軽減といった利点はあります。しかし、それにかかるコストと天秤にかけると、決して割に合わないのです。

キャッシュレス導入のコスト問題

決済サービス会社の営業担当者は「手間が減ることで人件費削減につながる」と説明します。しかし、小規模店舗にとっては、まず初期投資や手数料といった「見えるコスト」が気になります。
桐麺がキャッシュレス対応するには、まず既存の券売機に機能を追加するために約30万円の投資が必要になります。さらに、売上の一定割合を手数料として決済事業者に支払わなければなりません。桐谷さんは「合計で5%くらい持っていかれる感覚です。原材料費の高騰もあるので、キャッシュレス導入となると全商品を200円くらい値上げしなければいけなくなる」と試算しています。
看板メニューである「桐麺加西ハッピーラーメン」は税込750円。もしこれを1,000円近くまで値上げしたら、客足が遠のくのは間違いありません。そのため、顧客の利便性を考えつつも、キャッシュレス化には踏み切れない状況のようです。

現金払いを貫くリスク

しかし、現金払いのままだと別の問題も生じます。大阪のカレー店を営む女性店主は、当初は現金払いのみでしたが、数か月後にはQRコード決済を導入せざるを得なくなりました。「現金を持たずに来店し、支払えない」というケースが頻発したからです。
現在、そのカレー店では約半数の客がキャッシュレス決済を利用しています。しかし、決済手数料が2%以上かかり、売上の入金も翌月になるため、資金繰りが厳しくなったといいます。「個人店にとって、この負担は決して軽くありません」と店主は本音を漏らします。

小規模店舗にとってのキャッシュレス化

キャッシュレス決済は、業態によって向き不向きがあります。ニッセイ基礎研究所の福本勇樹氏によると、「客単価が低く、規模が小さい業態ほどキャッシュレス導入が難しい」とのことです。
消費者のキャッシュレス志向は強まっていますが、小規模店舗にとっては「見えないコスト」より「見えるコスト」が重くのしかかります。決済サービス「PAYGATE」を提供するスマレジの高橋徹弥氏も、「キャッシュレス対応の有無が店選びの基準になっている」と指摘します。
キャッシュレス導入は、集客のための投資ともいえます。しかし、負担を減らしたいのも本音です。前述のカレー店では、クレジットカード対応の機器を導入しているものの、「手数料が高すぎるため、クレカは使えないと言っている」とのことです。

キャッシュレスか現金か? 店ごとの最適解を

キャッシュレス決済の普及が進む中でも、現金払いにこだわるお店は少なくありません。その理由は、単に「時代遅れ」だからではなく、経営的な事情があるからです。特に小規模店舗にとっては、コスト負担が大きく、導入のメリットを感じにくいのが現状です。
とはいえ、現金を持たないお客様が増えているのも事実です。どこまで利便性を追求するのか、それとも経営の安定を優先するのか──この問題に対する「正解」は、お店ごとに異なるのかもしれません。

数量限定のお店の場合

例えば冒頭で紹介した「桐麺」の場合は1日50組限定としている点で集客に力を入れなくて良い可能性があるので、支払い方法を増やす必要はないと思います。しかも券売機を用意しているのでオペレーションもすでに減らすことができるため効率化の観点でも導入の必要はないかもしれませんよね。

支払い方法をホームページや店舗の入口で明記しておくとか

飲食後に現金を持っていないため支払いができないといったトラブルを回避するためには、お店のホームページや入口などに支払い方法を明記しておくのも良いでしょう。ですがCMであるように「ここ、カード使えますか?」「現金のみです」「じゃ、いいですぅ〜」の方々もいるため、事前に現金しか払えないことが分かると、現金を持っていたとしてもお店を選ばない可能性が増えるため明記しない方が良い…という考え方もあるでしょう。
そうなると、現金を持っていない人とのトラブルは避けて通れなくなってしまいますが、それがマイノリティーであると考えその対処方法を用意しておくとする考え方も正解だと思います。

そのお店の優先順位を一度しっかりと整理してみると方向は見えてくるのかもしれませんね。

キャッシュレス導入で本当に売上は増えるのか?

今回、キャッシュレス導入のメリットとデメリットについて考えてみましたが、実際に「キャッシュレス決済を導入すると売上はどれくらい増えるのか?」という疑問が浮かびました。
調べてみると、キャッシュレス導入後に売上が10%以上増えたと回答した店舗は8%、5%以上増えた店舗は23%に上るという調査結果がありました。また、キャッシュレス決済を導入した店舗のうち、23%が「客単価が上がった」と回答しています。

さらに、経済産業省の報告によると、モバイルオーダーとキャッシュレス決済を導入した店舗では、客単価が1,000円から1,200円に増加した事例もあるそうです。

このデータを見る限り、キャッシュレス決済が売上や客単価の増加に寄与する可能性は十分にあります。ただし、これは店舗の業態や立地によって変わるため、一概に「導入すれば必ず売上が増える」とは言えません。
キャッシュレス決済の導入は、単なるコストではなく、集客のための投資と考えるべきかもしれません。最終的には、それぞれのお店がどのような客層をターゲットにしているか、どれだけ利便性を重視するかによって判断すべき問題ですね。

ちなみに私はキャッシュレス決済派なのでお店側には導入をして欲しいというのが本音ではありますが、お店の状況や目的によっては望むこともできないため、行きたいお店に行く時はそのお店のルールに従うとしています。まあこれは当然ですね(^^)

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T.kawano

Web業に従事して約20年。人生の約半分以上をWebに費やしてきました。 長崎県産業労働部や商工会議所の専門家としてセミナーをしたりWebでお困りの方の相談にも乗っていました。 デザインからライティング、撮影、プログラミングまでやっており、 「つくって話せるWebディレクター」として活動中。 月間約700,000PVのwebサイト運営、フォロワー約15,000人のSNS運営の実績を元にWeb集客を語ります。 三児と一猫の父。趣味はバドミントンとお笑い。 「優しい」のに「仕事ができ」て「面白い」人間を目指して日々精進中。